出版社内容情報
【内容紹介】
民衆のやみがたい「自由」への渇望が引き起こしたソ連・東欧圏社会の解体。開かれすぎた「自由」がもたらす病理に悩む西側先進諸国。はたして自由とは何か?逆説と不毛をはらむ現実を鋭く抉りだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
4
史学では「フランス革命を一つのモデルとして、他のあらゆる革命を裁くという理論が長い間続くことになる。明治維新をブルジョワ革命とは認めず、明治天皇をブルボン王朝のルイ16世と同じ絶対王権だと頑なに信じてきた日本の歴史学の貧困も、ここにあった…明治天皇制をフランス革命以前のヨーロッパの絶対主義と規定したのは、32年のコミンテルンから日本共産党に与えられた運動方針の一つであった…日本の学会は、講座派理論と大塚史学似代表されるように、この運動方針に盲従した…しかし本国フランスにおいても、久しい間、事情はほぼ同様」2016/07/24
ミツ
2
これはひどい。親父の愚痴説教レベル。 意識、覚悟、感覚、人間として成長、自己実現、何とも曖昧で無責任な印象を根拠に仮定をし、一面的で偏った価値観を押し付けてくるのにはうんざりした。 誰も責任を取らない日本と個人の権利自由がハッキリしているヨーロッパというありきたりな見方から日本を批判しヨーロッパにもちょっと難癖付けてみて、揚句の果てに“自分と闘うことが大事”って何だそりゃ!?2010/04/30
ダイキ
1
「自由であるというだけでは、人は自由にはなれない」〈自由の悲劇〉2018/11/04
草生やすな
1
自由はポジティブなイメージでとらえてしまいがちだが、必ずしもそうではないようだ。自由を追い求めるあまり、それ自体が教義となり硬直し、自由を押しつぶすことがある。あと、普遍的だと思っていた自由が、実は国柄をもっているという指摘。アメリカ、フランス、ドイツそして日本、それぞれ違った自由があるようだ。他に、人間の限界や宿命など、自分にとって頭の痛くなる内容だった。自分は自由主義者なのか?人間は皆、頑張れば何でもできるのか?自分を欺いてまで自己実現にいそしむ様は、悲劇としか......やめちくり〜(現実逃避)2014/01/13
take
0
アメリカ・フランス・ドイツはそれぞれ「自由競争というドグマ」「信仰の自由というドグマ」「学門の自由というドグマ」に縛られているという指摘が面白かった。欲を言えば、筆者は近代的自由が達成された世界を否定的に論じているが、それと対比される「良き世界」とはどのようなものなのかの提示が欲しかった。2016/02/24
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