講談社現代新書<br> ルネサンス

講談社現代新書
ルネサンス

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  • サイズ 新書判/ページ数 194p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061157149
  • NDC分類 230.51

出版社内容情報

【内容紹介】
フィレンツェをはじめとするイタリア諸都市にまきおこったルネサンスの光と風は、中世の深い翳を吹きはらい、輝かしい文化を創造した。東方貿易への渇望を抱くパイオニアたちは、合理主義の精神のもとに新たなる世界を発見した。これらの奔流は、腐敗した教会への反抗をよびおこし、宗教改革の大きな渦へとひろがっていった。本書はルネサンス・新しい世界の発見・宗教改革の3つの激流をとらえ、ヨーロッパ精神の特質を解明した好著である。

中世人にとっては、生きているということは、やがて死なねばならぬということにほかならなかった。現世世界は罪の世界であり、穢土であり、苦の谷であるにほかならなかった。しかしルネサンス人にとっては、生きるということが何物にも代えかたい喜びであったのであり、その気持は、ドイツ人文主義者ウルリヒ・フォン・フッテンの「おお世紀よ、芸術は栄え、知識はよみがえる、生きることは喜びなるかな」という言葉に最もよく表現されているといわれる。中世においては唯一絶対の存在であった彼岸は、今や現世の延長としか考えられず、死も現世への愛着を増さしめる促進剤であるにすぎない。ロレンツォ・デ・メディチの有名な青春哀歌はその端的な表現である。「うるわしの青春もとどむるによしなし、さあれ、人々、いまを楽しみてあれ、あすはみな定かならねば。」――本書より