揺れるいのち―赤ちゃんポストからのメッセージ

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  • サイズ B6判/ページ数 213p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784845111923
  • NDC分類 369.4
  • Cコード C0036

内容説明

熊本市の一民間病院が二〇〇七年に設置した全国でも類がない施設「こうのとりのゆりかご」。「赤ちゃんポスト」という通称が先行したためか、「親の子捨て助長」「いのちの救済」という世論を二分する賛否両論の議論が巻き起こった。それから三年半、すでに五〇人を超す子どもが預けられた。熊本日日新聞の記者たちが、これまでの概念に入らない特殊な機能をもった施設の計画発表から開設、そして現在までを取材。「いのち」「性」「家族」そして「人のつながり」―社会が親と子を包み込み、支える機能をなくしてしまった今、全国各地で必読の書。

目次

1 「こうのとりのゆりかご」とは何か(設置の衝撃;ドイツの現状)
2 生と性の隘路(妊娠に揺れて;子育てが苦しい;親と離れて ほか)
3 「こうのとりのゆりかご」のゆくえ(四年目を迎えて;今後の課題)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がらくたどん

32
最近10年を超えての振り返りを促す書籍が出たので再読。本書は運用開始3年目の熊日取材班による振り返り。未だに一定の誤解が残るようだが「ゆりかご」は最後の瞬間まで相談を呼び掛けている。県外利用者の多さからも「育てられない事情がある」事を前提に叱責を懸念せず相談できる場所の不足が浮かぶ。出自問題への危惧も既に指摘されている。生まれた子供は社会に居場所を提供する工夫をしてもらう権利があると個人的には思って来たので「ゆりかご」という事業を否定する気持ちになれないが、賛否でなく課題として考えなかった自身に嘆息した。2022/03/03

みゆき

3
反対意見を知りたかった。「赤ちゃんポスト」ではなく「こうのとりのゆりかご」と呼びたい。開設した2007年、当時の安部首相は「あってはならないこと。大変抵抗を感じる。」と表明した。匿名性が、捨て子を助長する。子が出生の真実を知る権利を奪う。確かにそうかもしれない。でも、救われた命があったのも事実。婚外子をタブーとする風潮、青少年の性教育、この問題を解決するのは容易なことではない。国でもない、公共の施設でもない、私人が覚悟を決めて「こうのとりのゆりかご」を作ったのだ。ただそのことにまずは敬意を表したい。2017/02/19

としゆき

3
赤ちゃんポストというショッキングなネーミングが先行した感があり、本来の意図や実態はよく知られていないと思う。事前相談や各種支援機関との連携を重視し、できる限り匿名性を軽減する努力もされているし、親にも考える時間をもってもらえる。関係者の懸命な努力に対して、残念ながら行政は現在まで見て見ぬふりを続けている。ポスト自体は民間の取り組みだが、全国から預けられる赤ちゃんの養育費を、熊本市が負担している現状もあり、全国的な展開が必要だと感じた。少しでもこのテーマに関心があるなら、読むべき。2011/06/07

ぷくこ

2
2007年、熊本県に誕生した「こうのとりのゆりかご」についての、熊本日日新聞の記事をまとめたもの。注目された「ゆりかご」の背後には、運営する病院の「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」という、思いがけない・誰にも言えない妊娠出産の相談窓口がある。まずはそこから、そしてそれでも相談できない親のための最後の砦が「ゆりかご」なのだ。「ゆりかご」はけして「安易な子捨てを助長する仕組み」などではない。そして、ワンストップでこうした相談のできる仕組みが行政として各地に早急に必要だと改めて思った。2013/04/11

shippopo

1
設置された時から関心を持っていました。 その是非を問われるところですが、この本を読んでみても難しい問題だと感じました。 この本から『ピエタ』、『境遇』と、図らずもゆりかご的施設を扱う作品を読みました。 先にこれを読んでいた分、あとの2作品の重みも増しました。2012/07/11

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