内容説明
NICU(新生児特定集中治療室)の取材をはじめた著者が出会った、生後5カ月のちいさな命。身体にたくさんの障害をかかえ、家族は、もう治療法がないことを告げられる。NICUのベッドは、いつも満床。助けられる命も、受け入れられないことも多い。大事なベッドはリレーのように、新生児の命をつないでいる。そのNICUの一角。絶望と希望が交錯するなかで、家族が悩み、感じ、そして選んだこと―。ちいさなちいさな命を看取るまでの、ある家族の物語。
目次
第1部 命のベッド、命のリレー(誕生;願い;限界;取材(NICUへ)
苦悩
無謀
出会い
依頼
昏睡)
第2部 やりすぎの医療でもなく、やらなさすぎの医療でもなく(ベッドのリレー、その後;NICUを出た、その先;小児の「看取り」をめぐって)
著者等紹介
川畑恵美子[カワバタエミコ]
1976年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京放送(TBS)入社。社会部、『NEWS23』などを経て、現在『報道特集』担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねこまんま
5
終末期医療はどんな人にとっても、それぞれ考え方が違うし、これが正解!というのもないと思う。 「できるだけ安らかに、その人らしさを失わないように・・・・・」って、その人らしさって具体的に何? 「延命治療について、是非を考える」って具体的に、何をもって「延命治療」とするのか? 生まれたばかりの赤ちゃんに、そもそも意思表示できる訳もなく、「この子のために、どうするのが一番良いのか?」という両親の葛藤のドキュメント。 2013/07/30
Humbaba
2
医者の数も、ベットの数も限りがある。小さな命と治療法がないという現実。例え治療法がないとしても、生きる意味はあるし、それを認めてあげることが親として出来ることでもある。しかし、その現実と向き合うのは苦しいことであり、誰でもできるわけでなく、また強制しても仕方ないことでもある。2013/05/25
ニコまま
2
NICUのおかれている厳しい現状や実際に入院している家族の思いなど伝わってきました。2013/07/01
せいなかいじゅう
1
タイトルと内容があまり一致していない印象。NICUでの看取りについては、1ケースしか触れられていない。他は救急医療の現状について、というかんじ。NICUに入院している重篤な患者のケースについてもう少し深く掘り下げたものを期待していた。2015/09/20
りんふぁ
1
NICUがこんなに少ないとは。産婦人科の減少はよく聞くが、これは国とか医師が足りないでなく、突き詰めればなんでもクレームしてしまう今の社会状態が問題ではないだろうか?簡単に医師になれるわけでない。一生懸命勉強し医師になったのに、なんでもかんでもクレームで訴えられるなら極力リスクの低めの科を選択する人間心を責めることはできない。妊娠しても自己管理せず、救急車をタクシー替わりに使い、お代を払わず子供をおいてバックレるとか、モラルの欠如が甚だしい。機材費、人件費、大変な課題もあるが、小さい命を守って欲しい。2014/04/08