Crest books<br> 穴掘り公爵

Crest books
穴掘り公爵

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  • サイズ B6判/ページ数 294p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900069
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

広大な邸宅に独居する老いたイギリス人公爵。彼は突然何かに駆り立てられて、敷地内の地下に巨大なトンネルを掘り巡らせた。老いに怯える公爵は、トンネルを徘徊し、幼い頃親に手を引かれ海辺で見た光景の謎に、やがて突き当たる…。十九世紀に実在した公爵をモデルに、精緻な調査力と奔放な想像力を駆使した衝撃のデビュー作。ブッカー賞最終候補の処女長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

152
広大な邸宅に 一人住む 公爵のお話である。 退屈な日々をもて遊ぶ公爵が語る ひどくどうでもいい話の数々 … 実在したポートランド公爵をモデルに した物語らしいが、正直 本作のチグハグな展開は よくわからなかった。2019/05/24

HANA

64
屋敷の地下にトンネルを掘ったり、独自の奇行や論理を持つ公爵。基本公爵様の独白で進行するのであるが、読み進めるたびにその独特の論理に捕らわれて抜け出せなくなりそう。ある時は自分の身体の事だったりある時は自然の事だったりと、様々な事柄についての独自の考えが極めて可笑しい。ただ読んでいるうちに公爵自身の老いの事だとか過去の回想だとかが、その根底に潜んでいる事に気が付く。まさに花火の如く、面白うてやがて哀しきとはこの事であったな。ラストは急展開すぎて反応に困ったけど、想像が内側から外側に溢れ出したようにも感じた。2017/07/09

キジネコ

53
受け継いだ領地と財の恩恵は公爵に圧倒的な退屈と好奇心の矛盾を与えました。物語は「りんごは、何故にりんごなのだ」という疑問から始まります。次第に其れは「余は何故に余なのだ」という切実な自身への問いへと姿を変え、遂にはヒトの甲殻の存在故に意識の本来的な解放が果たせないのだという狂気に辿り着きます。終章近く登場する一つの道具が読者の記憶に触れ「事実が根底に!」という驚きとともに大きく展開し始めます。穴を掘る?ん?あっ!と分かった瞬間に分水嶺の片側を読者も一気に落下します。ユーモアの味わいは苦く切なく胸に迫り…2017/08/03

藤月はな(灯れ松明の火)

36
健康を気にし、自分の失われつつある記憶への恐怖から穴を掘ることを命じた公爵様。私、最初はてっきり、公爵様のことをP・G・ウッドハウス作品のふわふわお頭なエムズワーズ卿みたいに可愛らしいかなと微笑ましく、見てましたよ・・・。でも健康にこだわるが故に自分の骨や筋を按摩に違えられても平気な様子や周囲からの視点を読むにつれてだんだん、不安になり、挙句の果ての行動に悲鳴が出そうになりましたよ!それにしても公爵様は自分の虚無から逃れられなかったのは切ないな・・・。なんちゅう、微笑ましくもグロテスクな作品なんじゃ・・・2015/12/11

エムパンダ

20
『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』がよかったので、著者のデビュー作に挑戦。邸の広大な敷地の地下にトンネルを張り巡らせた老公爵の日記を中心に、所々に使用人から見た公爵の奇行が差し挟まれる。敷地内や領内を出歩いたりエディンバラまで旅をしたり、心の内奥に闇を抱えながらも精力的に動く公爵はチャーミングで、正常と狂気の狭間を揺れ動く心情をハラハラしながら見守った。原題は“The underground man”。2021/09/16

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