出版社内容情報
石神、神社の数々に、藁蛇や藻汐祓。神話と祭祀に満ちた出雲の、古代の息吹を体感できる四地域をめぐる。
内容説明
「神話と祭祀のくに」出雲には、古代の息吹を伝えるリアルもあふれる。初期の信仰形態をいまにとどめる石神(磐座)、スダジイの木に巻きつく巨大な藁蛇、そして熊野、出雲の両大社をはじめとする神社の数々。宍道湖をとりまく五つのルートを歩き、古代世界にどっぷりと浸ってみたい。
目次
第1章 国引き神話とは
第2章 支豆支の御埼を歩く
第3章 狭田の国を歩く
第4章 闇見の国と三穂の埼を歩く
第5章 意宇川を歩く
第6章 銅剣と銅鐸と谷神の地を歩く
著者等紹介
平野芳英[ヒラノヨシヒデ]
1951年島根県生まれ。熊本大学大学院文学研究科修了。島根県八雲立つ風土記の丘勤務を経て、2005年から荒神谷博物館に主席学芸員として勤務。現在、荒神谷博物館副館長、NPO法人出雲学研究所理事。専攻―考古学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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moonanddai
9
どうも不勉強をさらけ出してしまいますが、出雲というと「神々の流竄 」くらいしか読んだことがなく、(それも的確に理解しているとは到底いいがたい状況ですが)何となく天津神に敗れた国津神がシンボライズされた地域、程度のイメージでした。それが「国譲り」神話もあるように、実際今でも両方が「土地」の中で生きているということが分かりました。それにしても荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡について、著者によれば北部九州の青銅器文化の深さと広がりからすれば、「一時的突発的」と感じるとのことですが、やはりすごいものです。2020/05/06
ラダー
8
島根旅行前の学習本。同じ中国地方でも山陰と山陽、山を隔てて異なる文化圏だなと感じる。私の地元では古代吉備の雰囲気を感じるように、島根の人々は古代出雲の雰囲気のなかで暮らしているのだろう。まさに神話の舞台が地域といった感じ。地理が苦手なので、意宇(いう/おう)とか支豆支(きづき)とか読みづらい地名が多くて読み進めるのに苦労した。不勉強で知らなかったが、風土記に記載ある「折絶(おりたえ)」という言葉(概念)は知らなかった。地形からリンクする文化の境界?なのかな。非常に興味深かった。
なおこっか
5
国引き神話、意宇川、谷神の地、とテーマに沿った出雲散策。時代には囚われず、蓄積された歴史のあちこちを垣間見。著者の取り組む石神調査の記述(神話の神々と社が結びつく前の、自然信仰の形)や、荒神信仰(神木に巻かれた藁蛇が、天と交流する)が興味深い。全体的に、自説を強く主張はせず、トピックを抽出してある感じ。例の少ない扇形神紋のご縁について、研究されている方いるのか、知りたいところ。2019/07/31
おらひらお
4
2016年初版。出先の島根県で購入して、家に戻って読みましたが、また、島根に行きたくなりました・・・。控えめな筆致がよく、出雲歩きのガイドブックに最適と言えそうです。2016/09/13
今日は決算前
3
△ 地形的な特徴をベースに、出雲の地を、弥山山地出雲大社杵築の地方、宍道湖の北本宮山山地のある狭田の国、三坂山山地があり島根半島の最東端闇見の国、国司のあった意宇の地、銅剣と銅鐸で有名な荒神谷の地、5つに分けて解説している。場所の特徴はわかるものの出雲神話との関わりが断片的でその地の祭祀的神話的な重要性が分かりづらい。その地に根付く磐座の文化等がしれて興味深かかった。ただ、著者の専門が荒神谷なので有れば、もう少し荒神谷での出土についての専門的な見解を語って欲しかった。【図書館本】2023/07/18
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