内容説明
著者は、原爆に始まる核兵器開発の歴史と、これにともなってアメリカの指導者たちが打ちだした核戦略の移り変りを簡潔に跡づけながら、それらの戦略がいかに愚かしく、また危険に満ち、むなしいものであったかを明らかにしている。キューバ危機のほかにも一触即発の危機は何度もあったのである。人類と核兵器との関わりの歴史を包括的にとらえた本書は、わたしたちの平和な未来を考えるうえで多くの示唆を与えてくれるであろう。
目次
1 木星をめぐる2つの衛星の謎
2 「千の太陽よりも明るく」
3 使われなかった原爆
4 超大型爆弾という切り札
5 勝利者なし
6 あらゆる事態に備える
7 相互が確実に受ける破壊
8 小さな大戦争
9 第2期核時代
10 第3期核時代
11 想像を絶する破局
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴァン
6
核兵器の保持は恣意的な政治の変動で各国の道具として利用される現在の状況よりも、政治からは隔たった中立的な国際機関によって管理され、将来的には削減、縮小されるべきものとなるのが、理想である。ただSFではないから、そんな世界統合政府のような機関など存在しない。バランスを欠いた一方的な核廃絶は危険である。対立する国家は削減案を自国に有利に運ぼうとするから、核軍縮交渉は、いつも難航する。この本は、広島、長崎で使われた核兵器の登場から、各国に拡散してしまった現状までをコンパクトにまとめている。 2021/09/23