内容説明
蔵書印を使う習慣のない西欧では、自分の名前を入れた美術小版画を作り、本の見返しに貼って蔵書であることを証した。この美術紙片を蔵書票という。日本では明治期に移入して以来100年、今まさに蔵書票の黄金期を迎えている。とりわけ浮世絵の伝統をもつ多色摺りの日本の書票は、技法とともに世界的に愛好されている。本書は、本を愛するすべての人のために、文化史的な側面からその魅力を探り、書票文化のあり方を問うものである。
目次
1 蔵書票の思潮(書物と蔵書印;蔵書票というもの;西洋の蔵書票について;日本の近代版画とその前夜;近代文芸運動「パンの会」;「創作版画」のあけぼの;現代蔵書票の羽ばたき;日本の蔵書票の特徴;世界の書票界と国際化)
2 蔵書票の楽しみ(「蔵書票の心」とは;創作篆刻の蔵書票;友情の鶏卵紙蔵書票;ハインリヒ・フォゲラーの蔵書票;蛇の絵柄の蔵書票;切手蒐集家三井高陽の蔵書票;印刷蔵書票と切手鑑賞法;世紀末の在日英国人の蔵書票;日本の現代蔵書票第1号;旧帝国大学の蔵書票;内田魯庵と蔵書票;蔵書票の制作技法について;書籍と蔵書票の貼付;児童・子供用の蔵書票について;蔵書票の交換について;蔵書票の蒐集のために)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
56
所蔵者の名前を入れた美術紙片を本の見返しに貼り、その所有を明らかにする蔵書票の入門書。2018/02/20
調“本”薬局問悶堂
3
時間かかった。 「本を愛する人のために」という副題がついた本の中で、国名の羅列に同じ国が2回出てきたり、荒井さんが途中から新井さんに変わってしまったり。 この本の校正は仕事したのかな、ってくらいひどいけど。 本の帯は日本独自の文化とはじめて知った。 本の帯の企画したい。2023/04/22
ミキ
3
2019-67:ふとしたキッカケで蔵書票に興味を持ったので読んでみました。全体的に流し読み。自分の蔵書票が欲しいけど貼るのが面倒だなと思ったり、、2019/08/05
南註亭
3
入門書としてはわかりやすい1冊です。今回は、「お化け提灯」の蔵書票を確認するためだけのつもりが、やはり再読してしまいました。2012/04/27
南註亭
1
1992年刊。当時は蔵書票についての安価な本がなかったのですぐに購読。蔵書票について、歴史・流行・種類・現状など要領よくまとめられています。巻頭に世界最古級の蔵書票カラー口絵が1ページ。本文にはモノクロで多数の図版が掲載されています。蔵書票の添付位置についても説明があります。 オススメ度 ☆☆☆☆ 4つです。