内容説明
19世紀に生み出されたおびただしい光の街路は、いまも裏街にひっそりとあるいは表通りに晴がましく、独特な表情をもって、都市を支えている貴重な空間だ。その光の街路の現代都市への復活を予感しながら、著者はこれらガラスで覆われた街路を訪ねて、パリ、ロンドン、ミラノ、ナポリ、モスクワを巡礼する。
目次
光の街路の系譜
光の街路の空間(PARIS;LONDON;MILANO;NAPOLI;MOSCOW)
光の街路の復活
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
348
「光の街路」のタイトルから、まず思い浮かぶのはやはりパリのパサージュだろう。本書でも真っ先に取り上げている。歴史的にもパリのそれが嚆矢であるらしい。最初期のものが1700年代の終わり頃、そして最盛期が19世紀であり、多くの傑作はこの時期のもの。また、いささか寂れた感は否めないものの、ありがたいことに大半が今も存続している。本書では以下にロンドン、ミラノ(ガレリアがある)、ナポリ、モスクワを紹介する。いずれもが、いわば鉄とガラスの造型であり、エッフェル塔などにも通底する美意識を感じるのである。2022/06/07