出版社内容情報
古今東西の文学や民俗を渉猟し、洒脱な筆致で星を紹介した「星の文人」野尻抱影。抱影が特に愛した星や四季折々の星の話などを厳選。
内容説明
夜空の美しさを伝えつづけた「星の文人」、その眼差し。
目次
第1部(星を覗くもの;小望遠鏡漫語;桜新町 ほか)
第2部(春の星空;黄道の行方;昇る獅子座 ほか)
第3部(星は周る;登山と星;山の端の星 ほか)
著者等紹介
野尻抱影[ノジリホウエイ]
1885~1977。天文随筆家、英文学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
71
美しい、星のエッセイ 明治~昭和に活躍した人。博識に驚く。 一番美しい星の名はAlbireoアルビレオ 白鳥座。”4つの母音を連ねた上にlとrの子音を含むので、甘く舌に媚びてどこまでも転がって行く” さすが、本業英文学者(小泉八雲らに学ぶ)2021/11/02
mii22.
66
【娘の本棚】毎晩夜空を見上げる。星がたくさんみえる日は心がほっこり、疲れもスーととれていくよう。子供のころからお気に入りの星座はオリオン座、お気に入りの星は蠍座のアンタレス。星や星座にまつわる思い出はたくさん。著者ほどではないけれど私もかつては天文少女だった。時代は違えど同じ星空に持つロマンは共感共有できるものばかりで嬉しくなる。先日は仕事帰りに流れ星をみた!空想がつきることない星空は夢とロマンと神秘の宝庫。大人になった今だってワクワクする気持ちは変わらない。2020/11/13
コットン
63
天文随筆家・英文学者で冥王星の和名をつけた筆者の星にまつわるエッセイ。「屈折望遠鏡の格納函に腰かけるとロンドンの絞殺台へ引かれていく大盗が、自分の入る黒い棺に腰かけている古い銅版画を連想する癖になった。」など話の広がりがある。また、大阪の四つ橋にあったプラネタリウムの話では1970年台友達に誘われ四つ橋の天文倶楽部?だったかの例会にいくとレンズ自作の話を聞けたのを懐かしく思い出す。2017/09/23
naotan
19
星座の知識があれば100倍楽しめただろうな、と思いながら読んだ。そんな私でも、学生の頃登った山のテントから見上げた星空と、大量の流れ星が忘れられない。2018/12/18
不識庵
16
オリオン、シリウス、アンタレス……星を見上げて悦に入っても、私はこの程度の知見しか持ち得ていない。読了して自らの無知蒙昧さを思い知った。みごとな連なりの北斗七星だが、柄杓が平面に並んでいるわけではない。柄のエンド部分の7(破軍星:この名は知っていた)は、光が私たちに届くのに650年を要するという。6は80年、他もまちまちで、並んで見えることが奇跡である。破軍は650年前なら室町時代に発した光である。星々は壮大だが生活に密着してもいる。四季とともに、人生の出来事とともにあることも忘れずにいたい。2018/05/16