内容説明
〔天皇をめぐる近代日本のアイデンティティ〕明治初年から現代に至る近代国民国家(nation state)の形成過程のなかで、「見えざる天皇」は、「身体化された天皇」として群衆の前に姿を現わし、全国巡幸にはじまり、華麗な天皇のページェントや国家的イベントに彩られてあらゆる国民(the people)に、単一の求心的なまなざし(sight)を振り向けていると観念され得る存在となり、やがて“象徴天皇”へとかたちづくられてゆく。“視覚化された天皇”の文化的・社会的・政治的意義は何か。「近代の国民」(citizenry)は如何に生みだされていったのか。本書は、新進気鋭の日系アメリカ人研究者による、犀利な日本論であり、日本の歴史的連続性を相対的な視点から捉えた卓抜な日本研究の書である。
目次
第1章 近代日本の文化的創出―国家のフォークロア
第2章 巡幸する天皇と日本の儀礼的地景
第3章 近代国家のページェント
第4章 天皇のまなざし―近代の視覚的支配
第5章 「象徴天皇」と電子メディア時代のページェント
結び 国家の公式文化と民衆の日常文化
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