内容説明
幽鬼妖怪、総称して魔は人間を惹きつける。人間が創りだすのも、善神より魔神のほうが得意だ。そうした、変化に富む魔たちが世に満ちている。彼ら魔たちの風貌、性格、通力を知ることによってこそ、彼らを生んだ各風土、各民族、各社会の特徴が露わになってくる。各文化圏の魔物、妖怪を紹介しつつ、彼らを生んだ環境を比較文化論的に解説。
目次
ナッツ（精霊）の国で
魔の創始、魔の定義
エジプトのヘビ、中国のトラ
龍の階層化と発展形
自然現象の魔化
吸血鬼伝説
狼男、ヒトトラ、月
アスーラとアトラス
鬼子母神など
スリランカの魔たち
ネパールの魔、バリ島の魔
西欧中世の魔女
魔法＝錬金術
呪文・護符・仙人
ヒンドゥー圏のリシ＝聖者
イスラーム圏の魔術師
西欧の妖精たち
狐狸、河童、山姥たち
十王、地蔵、座敷童子
鬼から化猫まで
日本の幽霊たち〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
4
1986年著。『世界オカルト大全集』といった趣の本で、欧米日本中国以外にもヒンドゥー文化圏、イスラーム文化圏等と、様々な世界の「魔」が紹介されている。ここの分量は少ないながらも上手くまとまっていて読み応えがある。『千夜一夜物語』が幾つか載っていたが、想像よりもコメディっぽい。大宗教が支配的になると先住の神々は魔に落とされてしまう。しかし日本では仏教が来ても神道系の神々は習合して魔に落とされずに済んだものが多い。つまり、神よりも先に魔があった。人々が先に祭っていたのは魔だった、という。→続く2021/06/16
いきもの
2
古今東西妖怪変化魔神魔女幽霊有象無象な魔を博覧強記で奔放に語る。飛躍や強引も何のその、愉快に遊ぶ魔のものについての小論(学術要素は薄い)。楽しい。2021/03/27
ねむりねずみ
0
地域的に偏りがある（中国・ヒンドゥー・イスラム圏に詳しい）ものの、様々な「魔」的な連中について、登場するストーリー込みであれやこれや一冊で読むことができる。オススメ。2015/05/09
すがし
0
記述のレベルが特別高いわけではないが、あらゆる「魔」の話が網羅されていて最高の情報誌といえる。手元においておきたい一冊。2007/12/06
