内容説明
軽薄短小の世紀ロココ。感覚人間が世に満ち、快楽がいたって素直に追求された官能解放の季節。200年を経て現代に浮上した、ヨーロッパ18世紀の遊び心に迫る!
目次
第1章 よみがえるロココ
第2章 官能を解放した男―装飾画家ブーシェ
第3章 官能文学の旗手―サロン詩人ヴィーラント
第4章 プレイボーイの美学―冒険者カザノヴァ
第5章 栄誉の奴隷にならなかった男―ゴッター伯爵
第6章 愚者の美学―ケルン選帝侯クレメンス・アウグスト
第7章 嫉妬の美学―若き日のゲーテ
第8章 ロココと現代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
5
わくわくロココ。ドキドキロココ。2014/08/02
富士さん
2
西洋近世史ならこの人と個人的に思っている飯塚先生の考えをおさらいするために再読。ロココの時代を軸にしたその歴史観は、簡単なんですが示唆に富んでおり、その意義を汲みつくすのは大変。あえて一言で言えば、あるがままの自己中のススメとでも言いましょうか。いつの時代も人間は愚かで我儘で醜くいやらしいですが、それを真理の権威で粉飾し、一元的な秩序でたわめるのは不自然であり、人間が人間としての魅力を発揮するには障害となるということなのだと思います。それが出来てしまったというところに近代の特殊性を読み取れるのでしょう。2014/06/05
Lieu
1
類書があまりない(美術史でも手に入りやすくてボリュームのある本はバロック・ロココで一くくりが多い)なか、この本は貴重。吉田健一の『ヨオロッパの世紀末』と一緒に読むとフランス革命なんかなければよかったと思ってしまう。もっとも貴族の立場から見ればだけど。2018/10/30
昭和子
0
官能のロココ。2011/07/26
しまりんご
0
一般的に「軽薄」「装飾過多」などと言われる18世紀ロココについて、「人間臭さ」「弱者へのいたわり」などの長所があることを述べ、19世紀西欧が生み出した中央集権的で物質主義的な価値観を断罪する。そして江戸時代や大正時代にロココにも似た文化的自由があったとし、未だに19世紀的価値観に支配される現代社会にロココ的価値観を取り入れることをすすめる。ブーシェの絵画、ヴィーラントやゲーテ、カサノヴァの文学などが登場し、気軽な読み物としても楽しめる。2011/07/08