内容説明
イヴ=魔女とマリア=聖女。蔑視と崇拝の呪縛のなかで女はどう生きたか。「魔性」と「聖性」をキーワードに中・近世を読み解く。
目次
1 魔女
2 聖女
3 魔女と聖女の狭間で
4 したたかな女たち
5 女性の文化は存在したか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
17
中世ヨーロッパの女性観について。根本的にキリスト教はどうしても女性蔑視的な呪縛から逃れられない作りをしているけれどそれは何故なのかということと、そうした中から聖女として崇拝される女性が生まれるのはどうしてなのかということが解る。魔女とか聖女とかそうしたラベリングとカテゴライズをすることって蔑視するにしろ崇拝するにしろ結局は男による身勝手な押しつけなんだよな。現代に生きる女性は自らの意思で好き勝手に魔女にでも聖女にでもなって欲しいなと思います。2020/01/12
中島直人
9
魔女と聖女、両極端の切り口から、中世における事件や女性観が語られていく。ただ、個々のエピソードは面白いのだけれど、脈絡がないので、主旨が伝わらず、読みにくい。2018/10/10
こつ
5
中世ヨーロッパにて力をもつ女性は魔女として焚殺される一方、正反対に聖女として持ち上げられる女性もいて、その扱いの差は紙一重だったようです。根底にあるのは宗教観からくる女性嫌悪とか。一神教を信奉する人々の女性への扱いの酷さは筆舌に尽くしがたいです。私はバリバリ働くよりもゆっくり家で夫を立てる生活を送るほうが楽でいいように思えますが、なんの権利もなく尊厳を踏みにじられるような時代はまっぴらです。2019/09/20
ほしけも
4
男性は物語を政治とか戦いとかルールのために作ったり利用したり、乾いた関わり方をするのにくらべて、女性はどっぷりと物語に浸かってしまうから 思い込みが肉体までに現れるのかなあ。 なんでどっぷり浸かっちゃうんだろう。想像力?2013/02/28
えふのらん
3
中世ヨーロッパの女性観、フェミニズムの概説。内容に目新しいものはないが構成が見事。表題のとおり魔女やサバト、その源流としてのイヴの原罪を説き、対概念として家庭の守護者としてのマリア、贖罪を司る者としてのマグダラのマリアを説明し、その対立の中間点に仕事人としての女性を置いている。サバトと対置するのに聖体拝領、拒食をエクスタシーを絡めるのは如何なものか、とか思うところはあったが、見通しの悪い中世史を魔女と聖女でざっくり整理してくれるのはありがたい。2020/01/10