講談社現代新書 新書東洋史<br> 中央アジアの歴史

講談社現代新書 新書東洋史
中央アジアの歴史

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  • サイズ 新書判/ページ数 224p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061158580
  • NDC分類 229.6

出版社内容情報

【内容紹介】
ユーラシア大陸を二分する北方の“蒼き狼”たちの遊牧草原国家と南方のオアシスを軸につくられた都市国家――その両者の対立・抗争と共存の歴史が、中央アジアを彩った歴史である。あるときはトルコ化し、あるときはイスラム化する草原とオアシスの民は、ティムールによる統一帝国の坩堝の中で、新しいユーラシア文明をつくりあげる。本書は、この歴史のダイナミズムを掘り下げながら、現代に至る諸民族の興亡と独立を明らかにし、中央アジアを把えるに必要な歴史観を提示する。

中央アジアにおける北と南――中央アジア北部の草原地帯と山間牧地の主人公は、群をつくる有蹄類の動物を追って、夏営地と冬営地の間を季節移動する遊牧民であり、南部のオアシス地帯の住民は、農業を主とする定住民であった。しかし、この相異なる生活様式をもった南北二つの住民は、相互に隣接して生活している以上、常に密接な関係に立たざるを得なかった。それは特に征服と被征服、支配と被支配の関係であり、また時には一方の文化の、他方の文化に対する優位と劣位の関係でもあった。また同時に、両者間の相互補完的な共存関係をもつくりあげた。――本書より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mahiro

11
草原に遊牧の民が現れてからの歴史を俯瞰的位置から定点観測している気分になる。定住しない遊牧民とオアシス地帯で農耕し交易の中継点にもなる都市を築いた民は征服者と被征服者になったり利用し合ったりして国を築き滅びて行く。チンギス・ハーンの子孫達は絶えることのない勢力争いで分裂しつつトルコ系の民と混血しイスラム化して今日に至る諸国を形成する。コロンブスの新大陸到達など西洋的歴史に目をとられがちだが中央アジアの人々の動きや国の興亡が世界史に与えた影響は大きい、ウズベキスタンやキルギスなど現在の国名に感慨を覚える。2017/09/23

K.H.

10
序論がまず気に入った。これまでの中央アジアの歴史は、シルクロードか中国の西域統治史の対象としてしか扱われてこなかった、というもの。それに対して主体としての中央アジアの歴史を目指したという本書は、この目標をある程度達成していると言っていいだろう。だがということは、16世紀のティムール朝の崩壊後二十世紀に至るまでの歴史にたった一章しか割かれていないのは、この帝国の滅亡とともに歴史主体としての中央アジアは終わったということなのか、なんて意地の悪いことを考えてしまった。2024/04/27

サアベドラ

7
一般向け中央アジア通史。北の遊牧民と南のオアシス都市の関係を軸にして、スキタイから新疆ウイグル自治区成立までの歴史を描く。1977年発行とちょっと古いが、一般向けで遊牧民とオアシス民の関係を中心に据えた本はあまり多くないのでいまでも有用(シルクロード関係の本なら結構ある)。クライマックスは両者が有機的に組み合わされて一大帝国を築いたティムール朝で、それ以降は流し気味。著者は『バーブル・ナーメ』を訳した人で、数世代前の日本の中央アジア史研究の第一人者。2012/11/22

Aa

5
ウズベキスタン旅行の予習に!紀元前からいろんな民族が入り混じってきたこのエリア。遊牧民とオアシスに定住する人たちのウィンウィンまではいかないけど、足りない部分を補う関係は納得。これから見に行く建物がたくさん出てきた!帰ってきたら復習に再読したい!2019/09/25

4
北方の遊牧民族と南北のオアシス民を軸に、中央アジアの興亡史を概観したもの。東西アジアの強国に挟まれつつも、シルク・ロード開拓後は中継貿易地として一大中継地となり、東西の思想・文化が混交した独特な雰囲気を持つ国家が形成される(これが今我々が抱いている中央アジア像ではないだろうか)。中世に入ってからは騎馬民族として各地を転戦し、東西大国を倒しモンゴルやトルコのような強大な武力と経済システムを持った国家を形成するのだが、その中で生まれた遊牧と定住が融合した文化(テント式の宮殿等)が非常に興味深い。2011/05/28

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