角川選書
明治の結婚 明治の離婚―家庭内ジェンダーの原点

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784047033887
  • NDC分類 367.4
  • Cコード C0330

内容説明

明治の離婚率は現在より1.5倍も高い。庶民のなかでは、女も働き手として自活する力をもっていたため、男と同じ立場で離婚を選べたのだ。一方、上流階級では「家」を守るため、婚前契約を結ぶ結婚や、一方的な追い出し離婚が行われていた。当時の新聞や離婚裁判の記録から婚姻の実態を読み解きながら、「地域の慣習」から「明治民法」へと、生活規範の変更を余儀なくされた人々の姿を明らかにする。

目次

第1部 明治前期―混迷と解放の時代(明治初年の日本社会;さまざまな結婚の姿;明治初年の家族の大勢 ほか)
第2部 明治中期―離婚多発と退行の時代(統計が示すその現実;原因をどこに求めるか;華やかな国際結婚 ほか)
第3部 明治後期―抑圧と胎動の時代(「家」制度の法定と明治民法の施行;『金色夜叉』と『不如帰』の登場;修身教育と良妻賢母教育 ほか)

著者等紹介

湯沢雍彦[ユザワヤスヒコ]
1930年、東京都生まれ。1954年、東京都立大学人文学部社会学科、1957年、同大学法学科卒業。専攻は家族問題の法社会学。東京家庭裁判所調査官、お茶の水女子大学教授、東洋英和女学院大学教授を歴任。お茶の水女子大学名誉教授。1981年、毎日出版文化賞、2005年、内閣総理大臣賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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bapaksejahtera

12
現民法制定後に生まれた私でも結婚や相続の際には全く明治民法のままに生きる両親や周囲に悩んだ。吉本新喜劇等の思考様式も21世紀にもその傾向は色濃く残った。今日こうした傾向は薄れたが、それは極端な少子化による一族意識の物理的変容による物で、基本的に日本人の意識は同じなのかも知れぬ。今日の若者が我々世代と打って変わり安易に同棲を繰り返し、婚姻を果たした後も明治期に近い高離婚率を示すのもその表れなのだろう。本書は易しいジェンダー論として啓蒙的である上、明治家族法が民法体系の中でねじれて成立した経緯も教えてくれる。2022/08/07

3
この手の本は論文調で難しい・・・と覚悟して読んでみたらとても読みやすい文章でわかりやすかった。途中著者は女性ではないかと錯覚するぐらい文章が優しい。事例もいくつか挙げていて、わかりにくい原文は現代風に訳してくれているのも親切。民法典論争で有名な旧民法が離婚の減少のきっかけになったのは確かっぽい。2011/08/21

YY

1
うーん、まあまあ。インタビューなどは史料として価値があるかも。破たん主義云々に関しては『明治前期の法と裁判』などにもっと詳しい論文があったはず。離婚・結婚の増減や、最初のほうの、階層ごとの慣習をまとめたのは大変よい。最終章はどうだろう。史料的バイアスもある気がするが。ちなみに、出てくる裁判例中、「破廉恥甚」は、刑事的サンクションとして士族から落とす「除族」を伴う、という身分的効果があった(それゆえ、原告は平民)ことにももう少し注意を払ってもよかった。2012/11/14

396ay

0
千代田区立図書館。卒論用。2021/02/22

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