中公新書<br> 韓国とキリスト教―いかにして“国家的宗教”になりえたか

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中公新書
韓国とキリスト教―いかにして“国家的宗教”になりえたか

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  • サイズ 新書判/ページ数 203p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121021731
  • NDC分類 192.21
  • Cコード C1222

内容説明

宗教人口の過半数を、キリスト教信者が占める韓国。教派間の拡大競争は、大統領選挙の動向や、北朝鮮支援事業に強い影響を及ぼす一方、しばしばカルトや他宗教との衝突といった社会問題を引き起こしている。本書は、一八世紀以降の朝鮮半島における受難の布教開始から、世界最大の教会を首都ソウルに置くにいたった現在までを追い、日本では報じられなかった韓国社会の実情と問題を解き明かす一冊である。

目次

第1章 キリスト教会の存在感(データから見る韓国教会;韓国教会の拡大;大型教会の出現;アフガニスタン人人質事件と海外布教;在外韓国人の教会)
第2章 キリスト教の伝播と朝鮮西学(歴史・上)(前近代のキリスト教の特徴;文禄の役とキリスト教;韓国教会の起源をめぐって;西学と天主教;カトリックの布教と迫害)
第3章 近代化とプロテスタント(歴史・下)(プロテスタント布教の開始;諸外国の朝鮮布教への参入;帝国主義とキリスト教;植民地化と神社参拝問題;独立後の韓国教会;韓国の近代化と教会の拡大)
第4章 キリスト教受容の要因(韓国の宗教的枠組み;キリスト教の受容;東学とキリスト教;祖先崇拝の摂取;外部的要因)
第5章 韓国キリスト教会の問題と展望(社会における教会の問題;大型教会主義と個別教会主義の陥穽;北朝鮮の教会;韓国からのアプローチ;岐路に立つ韓国教会)

著者等紹介

浅見雅一[アサミマサカズ]
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂所助手、同助教授、ハーバード大学客員研究員などを経て、慶應義塾大学文学部教授。専門はキリシタン史

安廷苑[アンジョンウォン]
韓国ソウル生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業後、同大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。その間、ポルトガル共和国リスボン新大学大学院に留学。大学非常勤講師などを務める。専門は東アジア・キリスト教史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ntahima

29
2度目の外国暮らしだったのでカルチャーショックは殆ど感じなかったが、韓国キリスト教の外貌には軽い違和感を覚えた。私自身がキリスト教徒ではないので教理等は比較できないがドイツなどヨーロッパ諸国で接したキリスト教とは大きく違う印象を受けた。いつか韓国キリスト教全般について書かれた本を読んでみたいと思っていた。結論から言えばかなり腑に落ちた。これはどちらが正当かという意味ではない。宗教も文化から自由ではあり得ない。韓国のキリスト教人口は新旧合わせて3割弱。社会に対する影響力は非常に大きい。文化理解の為にも有用。2014/12/20

Porco

18
韓国にはキリスト教徒が多いとは聞いていましたが(約3割らしい)、いったいなぜなのか、社会的な存在感はどんなものなのか、まったく知りませんでした。韓国キリスト教史の始まりから現在までを様々な角度から解説してくれている本書は、全ページ、知らなかったことだらけ。実に勉強になりました。2017/02/04

gecko

8
キリスト教信者が宗教人口の過半数(全人口の約3割)を占める韓国における、キリスト教の歴史と現在を解説する一冊。伝播の特徴は、前近代にカトリックを出発点とし、外国人宣教師による布教ではなく、中国で出版された書物を通じて「西学」という学問として知識人階級に浸透したこと。プロテスタントはこの前史とは断絶した形で帝国主義の時代に導入され、抗日運動の中心勢力ともなったという。キリスト教受容の要因には、シャーマニズムなどの土壌、儒教の祖先崇拝を取り込んだこと、アメリカの影響、「選民思想」などがある。2012年発行。2022/08/25

ラウリスタ~

7
布教ではなく、北京で自発的に学んだ人が韓国キリスト教の始まりとされる。その組織力から、抗日運動の中心となる。独立後は、抗日指導者にキリスト教徒が多かったことに加え、「韓国を救った」アメリカへの感謝から、プロテスタントが爆発的に発展。そこからChosen朝鮮=選ばれた民という認識へ。プ諸教会は分裂を繰り返し(神学的に、あるいは暖簾分けで)た結果、最寄りの教会に通うのではなく、好みの牧師のいる人気の教会へと車で通うように(大教会)。地域貢献ではなく、むしろ地域との対立が起こる。韓国原宗教が一神教的であった地盤2019/08/10

itosan04

4
韓国社会とキリスト教との関係は、ずっと前から気になっていて、どこかで確認したかったんだけど、この本でやっと整理ができた感じがする。「韓国教会はイスラエルの民が神から選ばれたとする『選民思想』を韓国人にあてはめた」。そして日本との関係で自らの民族的苦難を「キリストの受難」にあてはめて民族宗教としてキリスト教を選んだという点。日韓関係や韓国について考える場合、この視点はかなり重要だと思う。2016/01/19

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