出版社内容情報
ハーヴァード大学で三〇余年にわたって練り上げられた円熟の講義録.ホッブズ,ロック,ルソー,ヒューム,ミル,そしてマルクスらを配し,「正義の政治的構想を表現するものとして,リベラリズムのより中心的な特徴を特定する」意図のもとに,丹念に分析を重ねたロールズ最後の著書.〈公正としての正義〉解釈に必携.
内容説明
ジョン・ロールズが退職するまで、ハーバード大学で三十余年にわたって行われた「近代政治哲学」講座。本書は、その円熟の講義録を収めたものである。ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソー、ミル、マルクス、シジウィック、バトラーら八人の理論家を「範例」とし、「正義の政治的構想を表現するものとして、リベラリズムのより中心的な特徴を特定する」意図のもとに、丹念に分析を重ねたロールズ最後の著書。
目次
序論―政治哲学についての見解
ホッブズ(ホッブズの世俗的道徳主義と社会契約の役割;人間性と自然状態;実践的推論についてのホッブズの説明;主権者の役割と権力)
ロック(ロックの自然法の教義;正統な体制に関するロックの解釈;所有権と階級国家)
ヒューム(「原初契約について」;効用、正義、そして賢明な観察者)
ルソー(社会契約―その問題;社会契約―諸仮定と一般意志(一)
一般意志(二)と安定性の問題)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
12
ロックに関する講義の、「立法権力が信託権力であるということは、人民がもつ憲法制定権力がつねに存在しており、それが破棄されることはありえないということを強調しているのです。」(220頁) は正に今において重要な意味を持っていると思う。ロックがめざしていた「混合政体の文脈内で王権に対する抵抗を正当化する根拠を提供すること」(183頁)という観点を含めてである。民主主義の危機は、むしろ議会制民主主義に焦点が絞られるだろうが、特にC・シュミットの恐ろしいまでの指摘に対し、何ら良い回答がないが、原点に立ち返ることは2015/08/02
メルセ・ひすい
3
15-95 退職するまで、30年に渡る「近代政治哲学」講座。「正義の政治的構想を表現するものとして、リベラリズムのより中心的な特徴を特定する」、丹念に分析を重ね、主に1960年代が中心。1971年『正義論』下記とバーリン…ミル マルクス カント。さらにルソー2001年には『公正としての正義 再説』練り上げられた円熟の講義録。8人の理論家を範例とし、丹念に分析を重ねたロールズ最後の著書。本巻は、ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソーを収録。理論は死に体?皮肉にも悪の帝国としての米国の政治の歴史は定着している。 2011/12/12
きみどり
2
上巻では、ロールズによる「政治哲学についての見解」の序章の後、ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソーについてのレクチャーが取り上げられている。講義は、それぞれの思想家の思想を広く概説するといった類のものではない。むしろ、講義が「当てている焦点の幅は狭い」。そのため政治哲学の通史を知りたい人には向かないだろう。ではこの本から学べることとはなんだろうか。その重要なひとつは、テクストを読むときに持つべき、心構えや真摯さとでも言えるものだと思う。個人的には、ルソーのレクチャーが難しかった。2012/09/24
壱萬弐仟縁
2
最終目的としての幸福・・・これは、どこに住んでいても、ナショナルミニマム、シビルミニマムで保障されねばならない。ミルは、生き方に集約している問題と考えており、知性、感覚や想像、道徳感情の諸能力が高次のもので、低次のものとは区別される。結局、経済も幸福のための手段とならないと、ブータンの人たちのように、さわやかな笑顔を振りまくことはできない。2012/04/12
Katsusuke Taira
1
test2019/02/17
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