内容説明
幼児はどのようにして母語の知識を獲得するのだろうか。生成文法理論によれば、ヒトには母語獲得のための生得的な仕組みである普遍文法が備わっており、幼児はそれにしたがって母語知識を形成していく。この仮説は、幼児の母語知識における本質的な部分が、観察しうる最初期から成人の母語知識と同質の体系となることを予測する。この予測の妥当性を調査した代表的な実証研究を紹介しながら、普遍文法に基づく言語獲得研究の目的と方法を解説する入門書。
目次
第1部 はじめての言語獲得研究:基本的仮説(母語獲得とそれを支える生得的な仕組み)
第2部 言語獲得におけるUG原理の早期発見(文の階層性;構造依存性;移動に対する制約;wh疑問文に対する制約;「なぜ」に対する制約;スルーシングに対する制約)
第3部 言語獲得におけるパラメータの関与(言語の異なり方を司る生得的な仕組み:パラメータ;空主語現象;medial‐wh疑問文;関係詞節;名詞複合;前置詞残留;項省略)
第4部 言語獲得研究のこれまでとこれから(普遍文法に基づく言語獲得研究のこれまでとこれから)
著者等紹介
杉崎鉱司[スギサキコウジ]
三重大学教養教育機構教授。1972年生まれ。2003年コネチカット大学大学院言語学科博士課程修了。Ph.D.(Linguistics)。三重大学人文学部講師・准教授・教授を経て、2014年より現職。専門は生成文法理論に基づく母語獲得研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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