感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
9
『マルセイユのユニテ・ダビタシオン』とまあ大体言つてることは同じですね。建築家が、いかにタテモノを建てるといふ本来的な仕事の他に色んなことを考へてゐるか、今更ながら感心する。これをお節介と見るか、凄いと見るかで、建築家といふ存在に対する好悪が分かれさうだ。2017/02/26
iwtn_
3
有名な建築家・都市計画家の有名な本。原理的に書かれている感じ。まっさらな場所なら実現できそう。特に新興国の都市部とか。既にある都市を拡張していく感じではない。たぶんどこの国も人口が増えていた時期に書かれた感じで、人間に当時必要だと考えられていた要素を一覧し、そこから演繹的に住居の構造から必要な職場・娯楽のためなどの設備を配置している。少子高齢化が進む現代だと、夢物語のようにも見える。大戦後で希望が広がっていたんだろうか。新しい惑星とか開拓するときには多少参考になるかも。2023/02/28
塩崎ツトム
3
森に浮かぶ、美しい都市。本書に挿されたル・コルビュジエ直筆のスケッチを見るだけでわくわくとさせられる。なおかつ実に惜しいのは、ぼくらヒトは、シャルル――コルビーが想定したよりはるかに、過密状態・不衛生状態が大好きであり、恐ろしいほど機械の機能を無視(最悪の場合は、逆行)したがるという点。2013/11/30
Keikoh
2
アスコラルの理論は、その公式の厳密性により、専門の技術者、建築家、技師の賛同を得るに相違ない。これらの人々は、技術の現在の状態、今日使用可能な材質の利用、時間および空間における計画実現の戦略的可能性、人間の本性がその個人的、集団的欲求と義務とにしたがって願うところの、真の正しい願望との一致など、多くの必要な統制措置を心の中でいろいろと考えている人々なのである。真の専門家達は、アスコラルの理論の中に、現代都市計画の要素となる最も豊富な材料を見出すことであろう。2022/10/05
tanakou
2
なんとなく、これまでに自分がイメージしてきた「コルビュジエ」という像を再構築する必要性を感じました。恥ずかしながら、これまでの僕の中でのコルビュジエといえば、近代建築を象徴するようなのっぺりとした感覚やイメージというのが本音です。しかし、ここに書いてあったのはこの混沌とした巨大社会の中で、人間が『物質的にも精神的にも申し分ない最上の生活条件』を目指した都市論でした。機械文明の最初の100年の人間である彼に対して、その次の100年に生きる者として何が出来るか。自らの立ち位置を再認識させられるような本でした。2011/09/18