岩波文庫
肝っ玉おっ母とその子どもたち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 229,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003243930
  • NDC分類 942
  • Cコード C0198

出版社内容情報

「叙事的演劇」を唱え,「異化効果」など数々の実験的な手法を取り入れ,演劇の革新を精力的に推進したドイツの劇作家・詩人ブレヒト(1898―1956).『三文オペラ』と並ぶブレヒトの最もポピュラーで人気のある戯曲.

内容説明

“叙事的演劇”を唱え、“異化効果”など数々の実験的な手法を取り入れ、演劇の革新を精力的に実践したドイツの劇作家・詩人ブレヒト。ブレヒトの数ある戯曲の中でも『三文オペラ』と並んで最もポピュラーなこの作品は、三十年戦争を背景に、「肝っ玉おっ母」と呼ばれる一庶民の目線から戦争を捉えた反戦劇である。

著者等紹介

ブレヒト,オイゲン・ベルトルト[ブレヒト,オイゲンベルトルト][Brecht,Bertolt]
1898年2月10日アウクスブルクに生まれる。1917年ミュンヒェン大学に進学。1918年処女作と言ってもいい戯曲『バール』(Baal)を脱稿する。1927年初期の詩の集大成『家庭用説教詩集』を出版。1928年『三文オペラ』を執筆。1933年ヒトラー一党独裁に身の危険を感じて亡命。1956年死去
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

119
ヨーロッパの三十年戦争を舞台にしたブレヒトの名作。これは素晴らしい反戦劇だと思う。戦争の冷酷や愚劣さを、肝っ玉おっ母という不滅の登場人物を通して、鮮やかに描き出している。戦争を批判する物語は悲惨過ぎたり、作者の主張が前に出すぎて、入りこめないこともあるが、この劇は読み始めたら止まらなくなる面白さに溢れていた。したたかさと優しさと狡さを持ったおっ母が忘れがたい人物だが、彼女の娘でろうあ者のカトリンも強烈な印象を残す。この劇で一番心に残ったのおっ母が、殺された息子を知らないと言う場面だった。→2015/08/09

NAO

80
【「女祭り」参加】あまりにも戦争の身近にいるため子どもたちを戦争に行かせまいとする母親と戦争が身近であるからこそそこに向かおうとする子どもたちの意識の差。三十年戦争を舞台に、戦争を嫌悪しながらもその戦争で生計を立てていくしかない「肝っ玉おっ母」の矛盾を描いた、ブレヒトの代表作ともいえる反戦劇。「お偉方は儲けるために戦争をやっている」と鋭く批判しておきながら、だからそのまねをすれば自分も儲けにありつけると思ってしまった彼女の愚かしさがなんとも哀れだ。 2019/05/25

ラウリスタ~

10
あまり期待せずに読んだのですが・・・ものすごい作品でした。美人であることはいいことではない、まっすぐな木はすぐ切られるが曲がった木は切られない。これほどまでにシニカルな世界観を持つ主人公はめずらしい。2010/07/13

Pustota

7
三十年戦争の時代、3人の子供を連れて連隊付き商人として厳しい時代を生きる「おっ母」。戦争を批判しながらもその中で日々の糧を得るしたたかさを見せるが、それぞれの心に従った子どもたちは悲劇に見舞われる。勇敢、誠実、無私、真面目。そのどれも役に立たないという皮肉。でもどんな人間がよく生きられるのか。時代の残酷さを感じさせるとともに、鋭い警句が現代でも刺さる作品。特に戦争が、しぶとく生き続ける生き物にたとえられるところが印象的だった。2023/05/04

壱萬弐仟縁

5
1941年初出。110ページ~の従軍牧師の台詞には違和感がある。「戦争の中にも平和はあるんですよ。(略)前進中にだって肘を枕にうつらうつらできる、道端の濠でちゃんと眠ることだってできますよ」(111ページ迄)云々。戦争を知らない世代の一員として、戦争しているが暮らしは続く。生きなければならぬのはわかるが、平和が否定され、何でもあり、というイメージの戦争というのが評者のイメージなので、違う感覚か。肝っ玉おっ母は、「貧乏人には肝っ玉が必要」(113ページ)と豪語するが、何があっても動じない、という意味なのか。2013/02/16

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