内容説明
ミサイル発射、核実験、拉致問題、休戦協定の白紙化宣言…、国際社会を挑発しつづける北朝鮮の真意とは何か?冷戦およびその解体プロセスが生んだ朝鮮半島の複雑な状況や、分断国家という特異性など、北朝鮮が背負った歴史を紐解きながら、不可解な行動の背後にある北朝鮮独自の「論理」を読み解いていく。さらに、北朝鮮の政治体制の考察や国際情勢の分析を通して、北朝鮮にまつわる諸問題を解決するための方途を探る。第一人者の筆による、現代北朝鮮を知るための決定版の入門書。
目次
序章 なぜ「ならず者国家」と呼ばれるのか
第1章 なぜ独裁体制は継続しているのか
第2章 核やミサイルを開発するのは何のためか
第3章 なぜ国際社会を翻弄するのか
第4章 日本は北朝鮮とどう向き合うべきか
終章 北朝鮮は何を考えているのか
著者等紹介
平岩俊司[ヒライワシュンジ]
1960年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。松阪大学政治経済学部助教授、在中国日本国大使館専門調査員、静岡県立大学大学院国際関係学研究科教授などを経て、関西学院大学国際学部教授。専門は現代韓国朝鮮論。テレビや新聞・雑誌での北朝鮮解説でも知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しろくまZ
5
著者は現代韓国朝鮮論が専門の関西学院大学の教授で、2013年の著作。従って、最新の事件や出来事に対する言及は無いが、北朝鮮史を概観するには丁度良い著作。北朝鮮問題の本質として、国家として北朝鮮が併せ持つ攻撃性と脆弱性の二面性を著者は指摘している。なるほどと納得させられる部分はある。一方、北朝鮮の現在のリーダーの個人的特質が、今後、北朝鮮問題にどのように影響するのかも気になる。2017/10/13
田園の風
4
ソ連、中国という後ろ盾を失った北朝鮮が、自国を維持するためには、アメリカに対し優位を保たねばならず、そのためには核武装が欠かせないことが分かった。北朝鮮は確かに「ならず者」国家であるが、大国であろうと文明国であろうと、所詮は、懐に刃を忍ばせたならず者に変わりはない。それよりも、北朝鮮にはアラブの春は起こりえないのか?人民、軍、情報に対して、どのような統制を行っているのかが疑問として残った。2014/08/11
田中峰和
3
北朝鮮の独裁体制がなぜ崩壊しないのか。歴史をたどれば、主体思想から始まる。ソ連派と中国派を排除するため、北朝鮮の主体性を主張した金日成。その後ルーマニアのチャウセスク大統領夫妻の公開処刑に衝撃を受けて、軍の掌握を第一義とした。対外的な攻撃性は外交上の危機を作り出すことで北朝鮮国内を緊張状態に置く役割を果たし、経済的な脆弱性は大量の脱北者を生み出す。体制に不満を持つ者が脱北することは、不満分子の組織化を困難にし、ガス抜きができる。結果として、一般市民の氾濫が組織されにくい。実は脱北者を歓迎しているのだろう。2015/07/15
Ryuji
2
★★★☆☆北朝鮮という国家は「不可解な国」というイメージがあるが、何故なのか少しは理解出来たような気がする。朝鮮戦争の休戦協定に一方の当事国である韓国が調印していないとは全く知らなかった。また北朝鮮側の元々の考え方(現在は変化しているが)の中に、南(韓国)は大戦終了後に日本の植民地支配がアメリカに変わっただけで、韓国はアメリカの傀儡政権でありこれを倒して民族の自由を取り戻し統一するとあったが、北側の根本の考え方も納得。それにしてもこれを読めば読むほど日本の拉致問題の解決は遠いなと感じる。2013/10/29
kenken
1
各国の思惑を踏まえつつ、不可解にみえる北朝鮮の行動の背景にある論理を明快に解き明かしていく。これからこの本を題材にして、演習でロールプレーゲームをやってみます。さて、うまくいくかどうか。。2013/06/10