出版社内容情報
婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者が贈る、圧倒的な"恋愛"小説。
内容説明
婚約者が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる―。作家生活15周年&朝日新聞出版10周年記念作品。圧倒的な“恋愛”小説。
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞、2018年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
1258
辻村 深月は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。作家生活15周年作品、圧倒的な”恋愛”小説ということでしたが、著者が単純な恋愛小説を書く訳がありません。どんなに善良な人でも少なからず傲慢な部分があるんではないでしょうか?色々と考えさせるタイトルでした。 https://publications.asahi.com/gouman/2019/03/21
うっちー
1009
題名から想像つかない重い婚活小説でしたが、収まるところに収まって良かったです2019/03/25
鉄之助
983
「傲慢」私にも大いにある。「いつでも〇〇できる」や「せかれる」こと自体が、ごめんだという気持ち。読みながら「そうそう」と何度もうなずいている自分がいた。その対極にある「善良」。その善良だと思っていたことが、実は傲慢だったりして…。「ピンとこない」は魔の言葉。これにもハッとさせられた。ピンとこない、の正体は、自分が自分につけている”値段”に、相手が見合わない(低級だ)と、見下している卑しい本性。これこそ、傲慢の極み。自分にとって本当に大切なものは何か? ビジョンをもって生きていきたい、と心から思った。2020/07/20
bunmei
959
タイトルだけ見ると、随分哲学的な感じもしますが、30歳を過ぎた男女の生い立ちや恋愛から結婚に至るまでの、あからさまな心の葛藤、苦悩を描いた恋愛小説。誰もが人を愛することにおいて、時として『傲慢』であり、また時として『善良』であることで、男女関係の微妙な均衡を保っているのかもしれませんね。但し、正直言って、架にも真美にも共感はできなかった。特に真美の母親への依存性はあまりに自立心がないし、それを子供の為と思っている母親は、正に傲慢。架にしても、失踪した真美へのあの過大評価はどこから来るのか不思議だった。2019/05/18
ウッディ
906
ストーカーの影に怯えていた婚約者真実が失踪し、手掛かりを探すため、彼女の故郷で生い立ちや過去の恋愛を探る架は、善良だと思っていた真実の傲慢さを知る。ミステリーかと思って読み進めるうちに、打算やエゴに溢れながらも誠実であろうとする人達の人間模様が描かれ、最後は美しいラブストーリーになっていました。プライドとはある意味、傲慢であり、善良さは時に残酷なほど相手を傷つける。自分の恋愛体験を振り返り、考えさせる一冊であるとともに、これだけの内容を盛り込みながらも、極上の恋愛小説でもありました。とても面白かったです。2019/10/22