目次
第１ 高橋与惣次（出自；少時の師友；青裳堂；六国史会読；書物問屋仲間行事；鈴屋訪問；婿養子縁組；『活版経籍考』書写）
第２ 津軽屋三右衛門（津軽屋家名相続；御蔵元；市野迷庵・松崎慊堂と交わる；『説文新附字考』；求古楼展観；隠居；『新校正孔方図鑑』；『古京遺文』）
第三 津軽屋〓斎（三度目の西遊；『日本霊異記攷証』；『上宮聖徳法王帝説証注』；四度目の西遊；『和名類聚抄箋注』；天治本『新撰字鏡』書写；『本朝度量権衡攷』；正倉院宝物拝観；『転注説』；永眠）
付記 懐之の功績
感想・レビュー
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Aminadab
24
長らく書架にあったのを一読。棭斎は鴎外史伝の渋江抽斎や伊沢蘭軒の知友の民間学者で、業績は段違いに大きい。この本も年譜をふくらませた感じの鴎外っぽい書きぶりなので楽しい。富豪なのでたびたび京都へ旅しては大量の本を買い、遺物の所在を確認したり稀覯本を持ち寄って書誌を書いたりしながら、説話集日本霊異記や古辞書和名類聚抄の校訂をし、本文批判の原理を確立した。蔵元商人として津軽藩の江戸向け藩米を一手に扱いながら、寸暇を惜しんでは複数写本の読み合わせをする、何とも鴎外好みの人物。引き立て役の平田篤胤がちょっと気の毒。2023/06/14
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