感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
33
バハラーム王の誕生から死までが歌われますが、彼の7人の王妃が彼に語る物語がその半分以上を占めています。その、黒衣で帰ってきた王、求婚者に4つの条件を出す王女、悪魔に引き回される男、旅の同伴者に目を潰された男や名も知らぬ美女への思いを断ち切る旅に出た男の数奇な運命などの物語の奇妙で優美なこと。ただその後、その間の宰相の悪政が明らかになり、王は美しい御殿も王妃も快楽も捨ててしまいます。最後作者は現世の快楽の空しさを歌いますが、王妃たちの蜜のような物語はとても魅惑的で私には捨て去ることなどできそうもありません。2017/02/09
misui
3
英雄王バハラームを主人公としたペルシアのロマンス叙事詩。ハフト・パイカル。枠物語の枠の部分はバハラーム王が主人公だけど、実際メインとなるのは七人の王妃が語る奇想天外な物語。行く先々で何度も悪魔に騙される男の話や、砂漠で両目をえぐられる話、あと全体的に艶っぽい話が多い。ちょっと面白くてびっくりした。2009/10/24
宵子
1
中世のペルシャ(といっても出身地はアゼルバイジャン)の詩人のニザーミーの作品。バハラーム王の功績と彼の七人の妃が語る物語が話のメインであるが、後者が後の文学作品にも影響与えているらしい。王妃の話とあるので、結構女性が活躍するものが多い。あと、赤の王妃(出身はロシアとあるが、ルーシのが正しいかもしれん)が怖い&やることエグい。しかし、ペルシャ詩って暗喩が多いから翻訳するのが大変そうだ。2013/05/22