内容説明
中世思想の森は広く深い、本巻全20巻の完結を承けて編まれた本書には、森と木をともに見るための指針として、全容を窺うに至便な通史に加え、用途に応じた探索のための詳細データを収めて、万全を期した。初学者から専門研究者までの座右に。
目次
中世思想史(古代キリスト教・教父思想;中世前期の文化と思想;初期スコラ学の思想;アラブ哲学とユダヤ思想;盛期スコラ学の思想 ほか)
中世思想原典集成総索引(総目次;著者別収録著作一覧;監修者・訳者一覧;聖句引照索引(聖書/コーラン)
人名・固有名索引 ほか)
著者等紹介
リーゼンフーバー,クラウス[リーゼンフーバー,クラウス][Riesenhuber,Klaus]
1938年、フランクフルト生。上智大学教授、同中世思想研究所所長。専攻、哲学・思想史
村井則夫[ムライノリオ]
1962年、東京生。上智大学、清泉女子大学、早稲田大学ほか講師。専攻、哲学
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
歴史は時間的にも(新旧)空間的にも(勢力A対勢力B)二項的力学関係として因果的に処理されがちであり、キリスト教世界中心の中世は、そのような書物のルールを成す近代的歴史概念から旧弊なイメージを付されてきた。一方、総索引と共に本シリーズの責任者K・リーゼンフーバーの「中世思想史」を収録する本書は、ギリシア哲学やイスラム圏との長い対話の中で、静謐な写字室、賑やかな民衆の祝祭、壮麗な宗教伽藍、議論の声が響く大学都市をハブとし、千年に渡る宗教ネットワークの空間形成と時間変容を展開して、歴史を相関関係として捉え直す。2019/06/06