内容説明
1960年の前著は、中国庶民文化の宗教社会史的要素である民衆道教の経典としての善書について、綜合的に研究したものである。扱った時代は宋代から明末清初までを主としていた。以後、著者の善書の研究はさらに進み、時代の上では清代より現代に至るまで、善書文化伝播の地域の上では、中国から周辺諸国に及んだ。善書の多様化、善書作成の仕組、形式の変化―善書文化をささえる社会的集団―結社の多様化等々清代から現代にかけての新しい善書関係の諸問題についても研究した。旧著の内容についても各部分で増補を加えた。こうして増補中国善書の研究上・下二巻を刊行することになった。
目次
第1章 明朝の教化策とその影響―特に勅撰書を主として
第2章 明末の社会と善書
第3章 明代における三教合一思想と善書
第4章 袁了凡の思想と善書
第5章 功過格の研究
第6章 陰隲文について
第7章 明末における妖書邪経と宝巻流邪経巻