中公新書<br> ガヴァネス(女家庭教師)―ヴィクトリア時代の「余った女」たち

中公新書
ガヴァネス(女家庭教師)―ヴィクトリア時代の「余った女」たち

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121012043
  • NDC分類 367.233
  • Cコード C1298

内容説明

一九世紀英国で、未婚の女性がレディの体面を保ちつつ就ける仕事はガヴァネス―住み込みの女家庭教師―以外にはなかった。低賃金で家具の一部ででもあるかのように扱われ、縫いものまでさせられる日々。当時の日記や求人広告、ガヴァネスをヒロインにした『虚栄の市』『ねじのひねり』、自身がガヴァネスだったC・ブロンテの『ジェーン・エア』などの文学作品を通して、彼女たちの意識と、それを取り巻く社会の諸相を描く。

目次

第1部 現実のガヴァネスたち(ガヴァネス普及の背景;ガヴァネスの口を求む;何をどう教えたのか;気の毒な先生;ガヴァネス問題への対策)
第2部 小説の中のガヴァネスたち(レディ・ピカロ―クララ・モーダント;危険な女―ベッキー・シャープ;反逆する女―ジェイン・エア;道徳的優位者―アグネス・グレイ;身をあやまった女―レディ・イザベル;真実の女―ルーシイ・モリス;幽霊を見たガヴァネス)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まど

23
江國 香織さんがオススメしていた本。ガヴァネスがつらい仕事だったことがよくわかる本。ジェーン・エアの解説面白かったです。2011/12/10

印度 洋一郎

3
19世紀のイギリスを舞台にした映画なんか観ていると、しばしば出てくるのが「女家庭教師」。何となく見ていた、あの女性達がどういう立場の人なのかを、実際の一次資料や同時代の小説から読み解く。中産階級ながらも、扶養してくれる家族が亡くなったり、家勢が傾いたりして、自活を余儀なくされたレディ達だが、その現実と「レディは生活のために働かない」という階級意識の狭間で揺れ動く存在だった。雇われた家の中でも、生活のためではないので報酬は使用人並、しかし階級は主人達と同じというねじれがあった。この時代のイギリスの一断面だ。2023/10/14

euca

2
ジェインエアの関連本として読んだが、大変参考になった。レディであってレディでない微妙な立場に置かれたガヴァネスに孤独はアグネスグレイにも明らかだった。しかしその疎外的状況から女子教育の芽が生まれ、すばらしい文学が生まれていった。イギリス文学を学ぶ人にはぜひお勧めしたい。2015/09/13

壱萬弐仟縁

2
低い報酬と針仕事。これは、住み込みならではのことであろう。ジョン・ラスキンもまた、『ごまと百合』で女家庭教師に対する敬意の欠如を述べている。やむなく働かざるをえなくなった、という意味では、現代のオーヴァードクターが非正規になっているのと同様か。2012/05/26

Arte

1
ガヴァネスとは、男不足(植民地に独身男が出て行った)と父親の経済状態のために、働かざるを得なくなったレディであり、本来ならレディの品格を保つために働くなどということはしてはいけない存在であるからして、職場を求めるのではなく、「居心地のよいホーム」を求め、「報酬を受け取ったらレディじゃない」ので給料は低く、ついでに一家の針仕事もさせられるという、当時の人から見ても不憫な存在だったらしい。2023/06/30

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