中公新書<br> 求道の画家 松本竣介―ひたむきの三十六年

中公新書
求道の画家 松本竣介―ひたむきの三十六年

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  • サイズ 新書判/ページ数 205p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121011084
  • NDC分類 723.1
  • Cコード C1223

内容説明

知的でモダンな絵、清らかでひたむきな生き様―。だれもが竣介の早すぎた死を惜しんでいる。中学入学と同時に聴力を失って画家の道を歩みはじめ、同郷の詩人宮沢賢治に心を通わせながら時代をみつめて多くの絵と文章を残した。明治が終わろうとする日から敗戦3年後までの36年。心血を注いだ絵と文章を克明に読み込みながら人間性に迫る。育った風土と、自由だった大正から戦争にまみれた昭和初期までの時代史を背景に据えて。

目次

1 イーハトーヴォ
2 アリコルージュ
3 ラヴ
4 エディター
5 ペインター
6 “レジスタンス”
7 レクイエム
エピローグ 松本禎子の述懐

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

92
画家松本竣介の生涯を描く評伝。幼い時に聴力を失った松本竣介が戦争へ傾斜する昭和初期をひたむきに生きたことが鮮やかに伝わってくる。著者の宇佐美氏は画家の生涯と同じぐらい当時の世相を丁寧に書き込んでおり、そのことがこの本を厚みのあるものにしていた。戦争にのめりこんでいく狂った日本社会と、多少は時代に妥協しながら、それでも全身全霊で自分の仕事にぶつかっていく画家の清冽な生き方の対照が一番心に残った。2015/01/03

どんぐり

75
画家松本竣介(1912 - 1948)の評伝。盛岡で育ち、13歳で脳脊髄膜炎により聴覚障害となる。17歳で絵描きを志して上京。「デッサンは細心に、描写は大胆・放胆に」がモットーで、その絵は、人物像や建物好きの作品によく表れている。画家は亀井勝一郎、萩原朔太郎など当時の文化人を起用した総合誌『雜記帳』(1年間で廃刊)を発行し、自らも書く人であった。「文章は読む人がたじろぐほどたゆたいがなく、明快極まりなかった。でも絵は、悲しいとか、淋しいとか、感情をつたえるだけだった。→2023/09/23

すばる

1
「きまぐれ美術館」を読んでから気になっていた松本竣介。その後、実際に絵を観て静謐な世界に心惹かれていた。その理由の一端を知ることができた。そして、この人にも戦争の影が。早くに亡くなってしまったのが惜しい。2022/06/05

pochico

1
松本竣介という人間を描いた本。これを読んでから彼の絵を見るとまた違った角度から見えてくる。悲劇の主人公のような人だけど、周りの人に愛されていた松本竣介は人間としての魅力に溢れた素敵な人だったんだろうな、と思う。2013/01/21

quinutax

0
昨年は二か所松本竣介展に行った。高校生の時に聴覚を失って以降絵の世界にのめり込んでいった、そして短く絶たれてしまった彼の人生を思う時、またモダンで雄弁な風景画を見るたびに涙があふれる。戦争に飲まれつつも抗い続けた画家は多くいるが、本書はそういう一人の屈せず明朗にあり続けた真摯な姿勢をとてもよく伝えてくれると思う。次は松本の自著「人間風景」を読みたい。2017/05/29

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