内容説明
第2次大戦後、壊滅的状態から復興した日本海運は、国家政策の支援を得て、たちまち世界有数の規模に到達した。技術開発による生産性向上により、数々の好不況を乗り切ってきた海運業界も、国際競争力の低下にともない、人件費の大幅な抑制を迫られた。本書は、1987―89年の「緊急雇用対策」によって新天地を求めて転職していった人々へのインタヴューを中心として、戦後日本を支えた海の男たちの気概を伝えるルポである。
目次
第1章 日本海運に何が起こったのか(外航海運各社の緊急雇用対策;海運があらわすさまざまな相貌について;瓦礫のなかからよみがえった海運王国 ほか)
第2章 船員たちの人間像と職業生活(あまり理解されていない船員という職業;頑固オヤジたちの歓待精神;100年かかってつくりあげた職階制度 ほか)
第3章 インタヴュー―47人の海の男たちの転職(青春の夢を追う;結婚の衝撃波;肉親への愛情にひかれて;中年の転職;船長ゆえの決断;妻と第2の人生へ出発)
第4章 技術革新社会のキャリア危機(負けじ魂、これぞ船乗り;小異を捨てて大同に就く官僚制の思考;孤立をおそれず、新たな連帯へ;負け戦を善く戦った海の男たち)