感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くまパワー
1
ちょっと古い本ですが、日本の南方進出に関する極めて概括な一冊である。明治期のからゆきさんから戦後経済進出まで、時間順で南方関与のはじまりから崩壊まで紹介し、特に第二章は「南進論」思想の系譜を注目し、各時代の南進論の特徴や歴史的役割を分析し、そしてたくさん関連文献を紹介した、ここはとても役立つと思う。日本人の経済進出のパターンと在留邦人も言及し、早期小売業から商業資本の定着を転変し、南洋の日本人社会も階級社会を形成し、「近代的日本」の思想があるためいじらしい心情を持っていた。まだ最後の参考文献とても良い。2022/10/28
Rion
1
論文書く前の参考文献になり得た(もう遅い)。戦後日本と東南アジアの関係性が、明治期からの日本人進出(からゆきさんを含め)と戦中の関係の蓄積とは別に、新しく構築されているという指摘が面白い。国策としての南進と民間の南洋移住は本来別の文脈にある。しかし、「近代的日本」をアピールさせるために、戦前から住んでいた日本人が戦中にさらなる内地人化を求められたことは、その他の植民地に住んでいた日本人と比較しつつ更に詳しく見て行く現象だと思う。2016/03/31
