内容説明
化学史上の事実として世間に流布しているもののなかには、誤りや、誤りとはいえないまでも不正確なものが少なくない。その、いわば「常識のウソ」について考えようというのがこの本の趣旨である。
目次
はじめに―「常識のウソ」の生まれる土台
質量保存の法則は発見されたのか―ラヴワジエは何をしたか
ドールトン神話の形成―化学教科書に見られる誤解
「定比例の法則」論争―勝ったのはベルトレかプルーストか
アヴォガードロは分子概念を提起したか―「常識」への挑戦
原子量が先か当量が先か―19世紀と現代におけるその消長
尿素の合成と生気論―ヴェーラーの尿素合成は生気論を打ち破ったか
周期律の発見者はだれか―なぜメンデレーエフが発見者とされるのか
原子構造論の誕生とスペクトル―ボーアはバルマー公式を説明したかったのか
化学教育への化学史導入の意味―化学史の現状から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
61
私にとって、手放せない大切な本。しかし、何度開いても第一章のみ読んで満足してしまいます。今回も第一章のみ読みました。高校の理科Ⅰの教科書の記述に納得出来ないまま卒業し、その後もモヤモヤが消えずにいたときに出会ったのがこの本なのです。教科書の記述を疑い続け、悩み続けた自分を救ってくれた私の宝物です。因みに、私のモヤモヤの原因は、アボガドロの分子説が生まれる過程を説明した教科書の記述です。常識にはウソが含まれている場合があること、常識を疑い自分で考えることの大切さを忘れないために側に置いておこうと思います。2020/01/19