岩波文庫
デモクラシーの本質と価値 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 157p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003401613
  • NDC分類 309.1
  • Cコード C0132

出版社内容情報

本来法学者であるケルゼン(一八八一―一九七三)が政治学,社会学の領域にも思考を拡げてデモクラシーの本質と価値を論じた代表作.デモクラシーとは,「自由」を最大限に実現しようとする要請から発した国家形式であるとして,絶対主義的世界観を基盤とする独裁国家形式と対決しようとするその論理は極めて明快であり,今なお示唆に富む.

内容説明

本来法学者であるケルゼンが政治学、社会学の領域にも思考を拡げてデモクラシーの本質と価値を論じた代表作。デモクラシーとは、「自由」を最大限に実現しようとする要請から発した国家形式であるとして、絶対主義的世界観を基盤とする独裁主義国家形式と対決しようとするその論理は極めて明快であり、今なお示唆に富む。

目次

第1章 自由
第2章 国民
第3章 議会
第4章 議会主義の改革
第5章 職能身分制代表
第6章 多数決原理
第7章 行政
第8章 指導者の選択
第9章 形式的デモクラシーと社会的デモクラシー
第10章 民主政治と世界観

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

15
古本市で400円で購入。 帯には純粋法学とある。 ケルゼンは訳者によると、 少数党の議事妨害も妥協手段として のみ正当性を認めた(12頁)。 日本も野党が小粒化している。 少数党の存在意義が問われる。 読書党までは言わないけども。 長くないので、必要な箇所を 積極的に音読していった。 自由とは、 自然の立場からは、 社会的規則性の否定を意味する。 社会の立場からは、自然的法則性 の否定を意味する(34頁)。 2014/05/04

ヤギ郎

13
独裁政治の対立候補として登場したデモクラシー。デモクラシーは「自由」を最大限にしようとする目的をもっている。しかし、デモクラシーが国民、行政、議会などでどのように使われているかを見ると、少なくない問題がある。著者は議会主義の本質に多数決原理があると述べていて興味深い。最後に、著者は、デモクラシーは社会秩序を生み出す一つの形式であると言っていて、政治・社会体制の完成状態に達していないことがわかる。本書は「自由」の話からはじまる。多数決原理が中心のデモクラシーの中で、私たちの自由がどこにあるか考えますね。2017/07/17

白義

13
自由と平等への根源的欲求から生まれたデモクラシーがいかに議会制度や政党政治という形をとるのか、理念と現実、可能性と困難の両面を見据えながら論じ、その世界観を明らかにしたもの。単純な多数決ではない、多数派と少数派の競争と均衡からなる多数決原理、など、議会制に対する左右両翼の非難から多元主義的に擁護し、自由とデモクラシーの真のあり方を見出だそうとしていて面白い。何かの絶対的価値を基盤にすることを拒んだ価値相対主義こそデモクラシーの世界観の基盤だと言うのは実に示唆深い。細部も見所あり2014/11/20

Nemorální lid

2
現実的民主主義に終始着眼したケルゼンのデモクラシー論は民主主義を『自由』に根差し、団体主義や平等主義を斥ける点はなるほど説得力があった。多数決原理を多数・少数決原理と看做し、相対的世界観に民主主義を見出す論はアウトクラシーと見事に対立している。『形而上的・絶対主義的世界観に独裁主義行動が帰属し、批判的・相対主義的世界観に民主主義行動が従属している』(p.131)とは言ったもので、アウトクラシーは前提に絶対真理観がある以上は国家形式に対する疑問を押し退ける事を妥当とする論も私には盲点で目から鱗な話であった。2018/06/10

Rusty

2
多数決原理は平等の理念ではなく、自由の理念から基礎づけるべき、というのはよく分からなかった。政治的平等は否定していないし、終盤で否定されているのはデモクラシーと物質的平等の混同だったのでこれとは別の要素のようだが。単に秩序=一定の支配との対義語としての「平等」か?デモクラシーの前提は相対主義的世界観、アウトクラシ―(独裁)の前提は形而上的・宗教的世界観(絶対的な真理や価値が存在し、それを認識できると考える)だというのは同感。批判的に思考するというなら、自分の主張の正当性に対しても批判的でなくてはね。2016/03/21

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