岩波文庫
近時政論考

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  • サイズ 文庫判/ページ数 192p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003310816
  • NDC分類 312.1

出版社内容情報

明治中期のジャーナリストとして日刊新聞「東京電報」「日本」を舞台に盛んな言論活動を行なった陸羯南(1857‐1907)が,両紙に発表した社説をのちに単行本としたもので,「近時政論考」を本篇とし,「自由主義如何」「近時憲法考」を併せ収める.いずれも明治初期の思想史,憲法史の研究に不可欠の政論である.解説=植手通有

内容説明

明治中期のジャーナリストとして日刊新聞「東京電報」「日本」を舞台に盛んな言論活動を行なった陸羯南(1857‐1907)が、両紙に発表した社説をのちに単行本としたもので、「近時政論考」を本篇とし、「自由主義如何」「近時憲法考」を併せ収める。いずれも明治初期の思想史、憲法史の研究に不可欠の政論である。

目次

第一期の政論
第二期の政論
第三期の政論
第四期の政論
近時政論考補遺 自由主義如何
近時政論考附録 近時憲法考

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

11
1890年初出。くがかつなんの本。「中央集権の説に隠然反対して早くも地方自治の利を信認せり」(21頁)。大日本帝国憲法の時代から東京一極集中の歴史がありそうな感じがする。民権論派は、慶應義塾等において英米の政治書を読みたる者は多く帰す(31頁)という。自由平等は人間社会の大原則なり(39頁)。慶應義塾は泰西学問の盛んなる、経済学の拡張を望む青年が多かった(60頁)。国民論派は、「智識は自由の本なり。道徳は平等の源なり」(87頁)という。知と倫理は今の時代こそ求められるもの。なんとかして、両立が必要である。2013/12/23

てれまこし

1
「上からの」「国家」ナショナリズムに対して、「下からの」「健全な(=民主主義と矛盾しない)」ナショナリズムのの可能性を秘めた思想として評価される政教社。その背景には、戦後のアジア・アフリカにおけるナショナリズムの台頭があるようだ。帝国主義に対抗する革新的なナショナリズムが日本にもありえたのかとふり向いた時に、そこに陸羯南や三宅雪嶺がいた。でも、読んだかぎりではそれは可能性に止まっていて、後に帝国主義に合流していく右翼ナショナリズムと共鳴する部分も多い。西洋かぶれの知識人の罪悪感を和らげる薬みたいなものか。2018/07/03

denz

1
封建制から自由で平等な制度への転換として明治維新を高く評価し、「天賦人権論」的な民主主義に対立しながら、一方で政府の専制主義に対して国民の権利や利害を擁護しようとする自身の「国民主義」を提示する。この両者が代表する議会と政府、そして別の権力である司法とを調整する「執中権」として天皇を位置づける。立憲政体ではあるが、あくまで君主制である立憲君主制は、同時代の英国でも君主は能動的な働きができる政治体制であった。一見、君主の能動性を主張しているようだが、あくまで三権の牽制機能として君主を位置づけているのが特徴。2012/01/19

yagian

1
明治時代、民主主義を日本に導入するときには、いろいろなタイプの思想が流入してきた。陸羯南はそれを比較衡量している。現代の日本では、そもそも民主主義のタイプ(主として、大陸ヨーロッパとアングロサクソン系)の比較衡量、よりよい民主主義のあり様についての検討などしている人がどれだけいるのだろうか。2012/01/17

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