最底辺―トルコ人に変身して見た祖国・西ドイツ

最底辺―トルコ人に変身して見た祖国・西ドイツ

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  • サイズ B6判/ページ数 405p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784000008822
  • NDC分類 946

出版社内容情報

先進社会の繁栄の最底辺には,下積み労働に駆り立てられた人々がいる.東欧や中近東からの移民労働者が汚れ仕事に追いやられ,産業社会の最深部を支えているのだ.トルコ人に変装したルポライターが暴露する労働現場.

内容説明

ヨーロッパ経済の繁栄を「最底辺」で支える東欧・中近東・北アフリカからの移民労働者たち。彼らはヨーロッパ社会の最下層で、本国人の嫌がるダーティな仕事に追いやられている。西ドイツの有名な暴露ジャーナリストであるヴァルラフは、カツラや色つきコンタクトレンズでトルコ人の変身して、移民労働者たちの生活世界に潜入した。農場・建設現場・工場の下層労働者、新薬開発の人間モルモット、労働手配師の手先として過す日々。先進社会の繁栄の影を鋭く描いた迫真のルポルタージュ。

目次

変身
舞台稽古
試し歩き
精神という原料
「楽しんでお食事」―最低の食い物
建築現場
埋葬―生きながら処理される
下の下の泥沼―私もされた法益剥奪
検査―実験用人間として旅に出る
昇進
従業員総会
放射線
委託―真実近い演出

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

honyomuhito

80
著者はカラーコンタクトを入れ、カツラをかぶり、言葉遣いを変えトルコ人に変装する。ドイツ人はしたがらない危険で、汚く、低賃金の職業に潜入して実際に何ヶ月にもわたって働く。過酷な労働環境に自らを起き、実際に体験してルポを書き上げた著者の強い意志の根底にあったもの。それは状況や環境に囚われず、差別を憎む強い心であったように思う。実際に本書は出版後、多くの意識の変化をもたらした。著者の崇高な志に敬意を表したくなる1冊であった。https://chirakattahondana.com/最底辺/2019/06/09

meg

13
いろんな意味でエネルギーに溢れてる本だ。 差別や偏見といった人間の姿を克明に描写しているから。 西ドイツに限った話しではないだろう。きっと今も世界中で地響きのように微かな揺れをもたらすまさしく「最底辺」の人間の姿。 それでもこの本は何か大切なメッセージを伝える。きれいごとじゃ無い、説得力?パワーがあるのだ。2024/01/08

ののまる

11
なるほどねぇ。西ドイツの話とはいえ、トルコ人、外国人に対する人種差別・虐待がドイツにずっと続いているんだな。だけど彼らを労働力として率先して呼び込んだのは西ドイツ政府(東ドイツは社会主義の国から)。それがあってこそ、今の難民受け入れとそれに対する反発の構図は根深い。2018/11/08

Y.Yokota

3
ジャーナリストでドイツ人の著者が、悲惨な外国人労働者の状況をトルコ人として自ら体験し、その一部始終を書いたノンフィクション。1985年出版。カツラ、カラーコンタクト、話し方で簡単に騙されるものかと思いましたが、どうも簡単なようです。つまり、この本に登場する人々にとっては、国籍というものが人を判断する上で大事な要素なのでしょう。トルコ人に対するそういった言動の描写の他にやるせないのが、放射能など明確に危険と認められる現場であっても、彼らは働かされる、そして働かざるを得ない、ということ。2022/04/06

広野

1
翻訳特有の言い回しに戸惑ったがなんとか読了。文化人類学の時間に学んだガストアルバイター。その苦境を一人のジャーナリストの目を通して知れた。自民党政権も移民政策について検討しているよう。それが現実的になって来た時は、よくよく考えて行動をしたい。2014/02/26

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