... ザヴィエルの布教の許可の願いに対して、足利将軍のとった態度というのがはなはだ妙なのであります。ザヴィエルはその時に乞食みたいな恰好をしておりました。一見したところ、如何にも見すぼらしい僧侶でありまして、どうもこれが高僧とは思えない。全然 ...

... ザヴィエルは言っています。ザヴィエルはピレネー山脈を越えた、スペイン側の山のふもとの城で生まれました。城といっても、防衛上の砦のような城でした。そこに生まれた王子でして、やがて旅に出て、パリ大学に入ります。ギリシャ哲学が好きな青年で ...

... ザヴィエルではなかった。日本の有力者たちは、一見して神の使徒といったふうの優しさと威厳ある声容をザヴィエルにおいて見、多くを学ばずしてその教義の尋常ならざるふんいきをさとったが、その聖者が去ったあとの足跡を実務的に固めていたトーレスに ...

一五四〇年早春,派遣されるはずの宣教師が病に倒れた。ザビエルはただ一言「私を遣わしてください」と,再び帰ることなくアジアへ旅立った。九年後 ...

... ザヴィエルはさらに京都をこころざし、瀬戸内海の海路をとって堺に上陸した。りょうけいよしてる( 5 )堺では富商日比屋了珪に会い、その好遇を受け、京都に上る著名な武士の一行に加えてもらうことができた。しかし、叡山の後援をえようとしたザヴィエル ...

... ザヴィエル城は残っていた。正確にいえば、ザヴィエル家が仕えていたナバラ王国の滅亡後、ザヴィエル城はごく一部を残して破壊され、数世紀の間、荒廃したままだったが、二十世紀になってイエズス会によって修築工事が行われ、在りし日の姿となっていた ...