内容説明
家の手伝いからは逃げ、学校ではイタズラばかりしていた少年は、大学へ進んで、美しい山々と出会った。―大学時代、ドングリとあだ名されていた著者は、百ドルだけを手に日本を脱出し、さまざまな苦難のすえ、夢の五大陸最高峰登頂を達成する。アマゾンのイカダ下りもふくむ、そのケタはずれな世界放浪記。
目次
青春の日々
山へのプロローグ
アルプスの岩と雪
朝焼けのゴジュンバ・カン
マッターホルンの黒い十字架
アフリカの白い塔
忘れ得ぬ人々
アンデス山脈の主峰
六十日間アマゾンイカダ下り
王者エベレスト
五大陸最高峰を踏破
地獄の壁グランド・ジョラス
著者等紹介
植村直己[ウエムラナオミ]
1941(昭和16)年、兵庫県生まれ。明治大学卒。日本人初のエベレスト登頂をふくめ、世界で初めて五大陸最高峰に登頂する。76年に2年がかりの北極圏1万2000キロの単独犬ぞり旅を達成。78年には犬ぞりでの北極点単独行とグリーンランド縦断に成功。その偉業に対し菊池寛賞、英国のバラー・イン・スポーツ賞が贈られた。南極大陸犬ぞり横断を夢にしたまま、84年2月、北米マッキンリーに冬期単独登頂後、消息を絶った。夢と勇気に満ちた生涯に国民栄誉賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
174
「こんな所で死にたくない。」人はよく、山好きは山で死ねば本望というが、とんでもない。体をクレバスから抜き出した後、そこを覗き込むと、自分が挟まって助かった奇跡に驚き、寒気、震えが止まらなかった。あと少しクレバスが広かったら、全ては終わりだった…。❄️マッターホルンの道から外れた岩棚に、ひっそり咲くエーデルワイスこそ、単独で冒険している憧れていた私である!夜空は満天の星だ。さあ登ろう!❄️吹雪の中、雪洞では孤独だ。アマゾン川下り、エベレストを思い浮かべ、私の心は満たされた…。私はあなたに心を満たされました。2020/12/15
kinkin
145
故・植村直己さんの青春時代の冒険記。読んでいて痛快かつ彼の人柄がよく知れる。彼自身本書の中で25,6ヵ国を訪れたが悪人とは誰も会わなかったと書いている。読んでいて思ったのは冒険や探検を成功させるにはその技術や知識も当然大事だが、人の交友や出会いが一番大事かもしれない。行く先々での人との出会いもこの本の読みどころだと感じた。彼のことをあまり知らなかったので他に著書があれば読んでみたい。2021/09/18
seacalf
121
言わずと知れた日本人初のエベレスト登頂者にして国民栄誉賞も受賞している冒険家、植村直己の若かりし頃の手記。時代が違うと言えばそれまでだが、山に登る資金を得る為に単身渡米してメキシコの不法入局者達とぶどう摘みをしたり、ヨーロッパのスキー場でジャガイモで食い繋ぎながら金を稼ぐという発想からすごい。朴訥だが決して粗野ではない語り口にしっかりとした観察眼、当時の各都市の様子なども面白い。女性を娘っ子扱いしたりして時代を感じさせる書きっぷりもあるが、思わず引き込まれる唯一無二な生き様は読んでいて実に爽快だ。2021/03/18
真香@ゆるゆるペース
110
登山家の植村直己さんの自伝&世界放浪記。明大の山岳部の活動から「アルプスで氷河を見たい」という夢を持ち、どうしても諦めきれず、英語力もお金もない中資金稼ぎのため渡米。無鉄砲としか思えない行動だけど、その後も行く先々で親切な人と出会ってサポートに恵まれ、五大陸最高峰登頂を見事達成。成功の理由として、桁違いのエネルギーや強さがあったのはもちろんだけど、運や人徳という要素を持ち合わせてたのもあったんじゃないかな。43年の生涯、太く短くを地で行ったような人だけど、大好きな山で迎えた最期はきっと本望だったのでは。2019/10/03
Shoji
84
すごい人だなと思う。偉大なバカだとも思う。大胆な人だと思っていたが、この本には意外に繊細な一面も。そんな著者は、ずいぶん昔にマッキンリーに行ったきり。まだ戻ってこない。プロの冒険家であり登山家。プロゆえ、慎重には慎重を期していた筈。国民栄誉賞受賞者、つまり、国民に明るい希望を与えた人だ。そろそろ戻ってきて欲しいな。やっぱり、人を動かすのは情熱と自信なんだなと思った。私にとっては良書でした。2017/12/22