文春文庫<br> 玄界灘

文春文庫
玄界灘

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  • サイズ 文庫判/ページ数 293p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167370206
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「見える。やっぱり船団ではないかのう」―文永11年(1274年)10月、壱岐の沖合いに集結した蒙古の大船団、その数九百艘、軍勢三万数千。対馬、壱岐をはじめ伊万里湾の村々を急襲、暴虐のかぎりを尽くした。郷里の村を襲われ、復讐の念に燃えた若者は玄界灘へ船を漕ぎ出す…表題作ほか七篇を収めた珠玉短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

レアル

63
短編集。描かれている時代は様々だけど、この著者は海から歴史が観られるので同じ歴史でも視点が変わって面白い。前回読んだ「海のサムライたち」と違って表舞台にあまり登場しない人たちを描いた作品が多かった。この本を選んだのは「シャムから来た男」を読みたかったから。其々の話の短編を読んで、何となくではあるが、著者の作風も知ったことだし、次は長編を読んでみようと思う。 2016/02/08

糜竺(びじく)

22
直木賞作家の白石一郎氏の短編集。どれも味わい深かった。2022/08/12

キムチ27

10
彼の作品3冊目だが、独特の香り。 日本が島国であり、古来より海洋に生きる民が多く住んでいるということを今更に感じさせてくれる。 筆者が九州在住ならではの地域性溢れる作品が8点収められている。 舞台は江戸期中心だが鎖国でありながら枠からはみ出た民がけなげに、或いはのたうつ様が描かれている。 面白いなと感じたのは何れも思いのたけ 記されていない・・7割がた、いや5割の感のもある。読者に事の結末を推し量らせるのが目的か あるいは事の善悪を判定さすべくの意図か。 海洋の如く、想いがびょうびょうと広がる感が楽しい。2013/10/10

TheWho

9
海を題材にした歴史小説家の著者が描く、歴史短編物語。幕末上海に赴いた蒸気船の乗組員がであった唐人遊女、鎖国時の難破者の悲哀、獣を呼び寄せる魔笛、表題の元寇時に故郷を蹂躙された松浦党の顛末、江戸期長崎で抜荷を取り締まる遠見番、大政奉還時最後の長崎奉行、寛政の鎖国令でシャムに撮り起こされた日本人の悲哀、そしてウィリアム・アダムスこと三浦按針の生涯など8つの物語。いずれも歴史の狭間で漂う庶民の姿をありありと描写している哀愁深い物語です。2015/08/26

ソババッケ

8
8つの短編からなる航海や港に関する物語。高杉晋作も乗船した幕府の上海派遣航海、シャムのアユタヤから秘かに帰国した若者の話、最後の長崎奉行となった男の幕府崩壊時の処世、元寇を迎え撃った松浦党の話、ウイリアム・アダムス(三浦按針)の滞在記、など。博多に居住し執筆していた作者らしい着眼点であり、興味深い内容となっている。5千人の唐人を宿泊させる唐人屋敷のあった十善寺村の様子や、長崎奉行所内の建造物や組織の話などはこれまであまり取り上げられてこなかった。「魔笛」のみは異質で紀伊国の山奥で笛で獣を操る話。★3.52016/04/23

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