内容説明
第一次大戦後のドイツ革命の中で共産主義者になったオットー・ブラウンは、ソ連にのがれ、ついでコミンテルン軍事顧問として中国に派遣される。中共の革命根拠地・瑞金から長征をへて延安へ。この革命戦争の中でブラウン=李徳の体験したことは、いま中国が公表している“正史”とはかなり様相の違うものであった。著者は、革命に貢献しながら歴史から抹殺された人物を発掘し、彼の目を通して中国革命に新しい光をあてる。
目次
第1章 上海のオットー
第2章 コミンテルンの軍事顧問団(上海の中国共産党;毛沢東と王明との確執)
第3章 瑞金=中華ソヴェト共和国の首都にて(伍修権との出会い;毛沢東と周恩来の葛藤)
第4章 「短促突撃」論の栄光と挫折(蒋介石、第5次討伐戦を発動す;2人のドイツ人の対決)
第5章 遵義の葛藤
終章 さらば中国よ
おわりに―オットー・ブラウンとエドガー・スノー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
1930年代初頭、国民党軍の軍事攻勢に敗勢著しかった草創期の中国共産党に、国際共産主義組織コミンテルンから送り込まれたドイツ人軍事顧問がいた。この人物、今の中国史では偉大なる毛沢東に敵対した輩という評価が定まっているが、その実態は違うというのが筆者の主張。このオットー・ブラウンの言動や去就から、当時の共産党内部の権力闘争や毛沢東の闇といった"中国の黒歴史"が浮かび上がってくる。それ故、これからもこのブラウンの中国での評価は変わらないだろう、とも。初期の共産党の複雑怪奇ぶりも興味深い。2016/11/05
東側ギャン
0
歴史に埋もれたコミンテルンの軍事顧問のおはなし2016/05/04