感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
9
鎖国について勉強しようと読んだ。徳富蘇峰『近世日本国民史』のうちの一巻。大正13年の日付のまえがきあり。文庫本は昭和57年刊行。蘇峰のスケールの大きさと独特の語り口に久しぶりに接した。「家康は、決して鎖国者ではなかった」。しかし幕府制度を維持するには鎖国政策は必然だった。二代将軍、三代将軍と代をおうごとに鎖国は厳しくなっていった。鎖国と結びついているのがキリスト教に対する弾圧なのだが、蘇峰が殉教者たちについて「日本歴史の光である」と書いているのには驚いた。蘇峰自身が若いころキリスト教に接した反映か。2020/12/09