出版社内容情報
中学生のときに敗戦を迎え,二人の子を育て,そして今,大学で教育学を講ずる著者が,あくまで当事者としての立場から試みる戦後教育の同時代史的考察.今日の学校教育がかかえている問題を,平等,効率,優秀さ,公と私,教師という五つの柱でとらえて検討し,いま私たち一人一人にできることは何かを,ともに考える.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takao
2
1984年8月20日(1988年7月5日、第7刷)発行。臨教審発足直前の発行。30年近くも積ん読だったが、様々な示唆に気づいた。教育学者であり二人の子どもの父親である著者が、教育の当事者の立場から書いている。日米英の学校を比較しながら、日本の「戦後教育」について考えているが、印象に残ったのは、イギリスでは1862年に導入された「生徒の成績に応じて補助金を出す」という「出来高払制」が1898年に廃止されたことで、教師と教育行政との信頼関係が回復され、教育行政の役割は「監督から助言に」転換されたという記述。2016/08/04