内容説明
「昆虫の詩人」―ファーブルは従来、最大の敬意をこめてこう呼ばれてきた。しかし、彼は繊細な詩人である以上に、百科全書的な博物学の巨人なのである。さらに“死んだ”標本の研究から“生きた”昆虫を研究することへと方向を転換し、自分の目で見て確かめたことだけを書いたファーブルの自然理解こそは、自然を単純化し、遺伝子をもてあそぶかのような今日の生物学の対極にあるものである。スカラベの生態など代表的研究を紹介しつつ、その91年におよぶ人生をたどる。第一人者による新たなファーブル像に迫る本格評伝。
目次
序章 『昆虫記』と私―クリスマスの贈り物
第1章 無政府主義者とファーブル―最初の訳者大杉栄、獄中で夢見た虫の世界
第2章 せせらぎの音、小鳥の声とa、b、c…―サン=レオンの幼年時代
第3章 放浪時代―詩と学問にあこがれるレモン売りの少年
第4章 コルシカの海と山―博物学へのめざめ
第5章 アヴィニョンの教師時代―レザングルの丘とヴァントゥーの峰
第6章 『昆虫記』の出版―1879年、五十五歳からの出発
第7章 『昆虫記』の面白さと意義―スカラベのナシ玉、蜂の外科手術、蛾の超能力
第8章 アルマスの賢者―虫と花々に囲まれて
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