内容説明
暮しのなかのなにげない音に絡みあう男と女の意気地。生きる哀しみを捉える確かな視線と透徹した感性。
目次
台所のおと
濃紺
草履
雪もち
食欲
祝辞
呼ばれる
おきみやげ
ひとり暮し
あとでの話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あーさん☆転スラ·薬屋·本好き·魔導具師ダリヤ·天久鷹央と続々アニメ最高です!!(≧▽≦)
38
内容的には大学生向け?(; ̄Д ̄)?
てんちゃん
32
脳に肌にすっとはいってくるような美しい文章。昭和に生きる人の姿を描き出しているエッセイのような雰囲気の短編集。昭和は今より少し窮屈な時代だと思う。そんな中で生きる人々の情感の豊かさ。文章を読んでいるのに、音や湿度が伝わってくるよう。少し体調が下降気味だった週末、身体にも心にも優しい、いい読書の時間を持つことができた。2018/01/15
イタリアンでこちん
14
あまりの良い本に保管用単行本を購入:おとを表すこの言葉の美しさと静謐さ。巻頭からの三つの短編に一気にもっていかれるでしょう。読みながら唸ってましたもん。夫婦そして師弟の繋がりと通じ合う情。言語ではない情念の触れ合いを描いているんだと思う。表題作は俎と包丁、鍋、食器の音、それらの音を聞く、訊いて、そして薬が効く板前さんの心と体に利くおとになっていることでしょう。『濃紺』柾目の下駄の履いた際の足裏を通して伝わる込められた想いの触覚。『草履』落ち葉焚火のにおい。あまりに切ない嗅覚のお話。他十編です。続2009/12/12
洋子
13
昭和の忍耐強い女性達の話2020/04/05
mawaji
7
円城青蛙の「読書で離婚を考えた」で取り上げられていたので手に取りました。父露伴に躾けられた日常のできごとのエッセイかと勝手に想像して読み始めたら10編の短編集でした。それぞれの物語は昭和の面影を漂わせながら穏やかに流れていき、著者とその家族や周りの人々との交流が見え隠れしているようにも思われました。表題作はもとより「祝辞」が私にはとてもぐっとくるお話で、最後の久夫のスピーチは何度も読み返してしまいました。幸田文再発見っていう感じ。図書館の単行本も文字が大きくてよかったのですが再読用に文庫本を購入しました。2017/11/19
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