感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみしの
8
中古の短編小説アンソロジー。おそらくたいていの人間は読んだことがあるであろう「虫愛づる姫君」がやはり群を抜いてよい。萎黄病の女性を描いている、という解説は正直よくわからなかったけれど、もとを尋ねて末を見る、といい、いわゆる社会の美的観念から離脱していく姫君はたいそう魅力的だ。人間では、「逢坂越えぬ権中納言」の中納言も同じく魅力的。省エネでありながらやることはしっかりやるという造詣は、現代でも信者を産みそうである。内容もさることながら、「堤中納言」の由来のあたりの話が面白かった。古典研究のロマンだと思う。2017/09/02
yume149
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古びない