出版社内容情報
今日ほど心の豊かさが問われ,その十全なる理解が求められている時代はない.この課題に応えるべく第一線で活躍中の専門家が最新の知見に基づいて新しい角度から切り込み,現代に生きるに必要な生きた知を提供する.
内容説明
60年代、70年代の精神医学を支配した分裂病論やうつ病論は、今日その形態を失って境界例論の中へ流れ込んでいる。精神医学の臨床と理論体系におけるこの変化は、現代社会や現代思想に浸透してきた境界事象の顕在化と軌を一にしている。本書は、近年の精神医学界で注目を集める境界例患者について、彼らの言語的・非言語的なコミュニケイション様式、身体性、内省力、記憶、症状形成能力等の問題を現象学的立場から論じ、彼らに特有な自己と他者の現われかたを豊富な症例を通して、またJ・ラカンや木村敏の自己論との関連において明らかにする
目次
第1章 症例―悦子の場合
第2章 症例の分析
第3章 境界例患者における自己と他者
第4章 境界事象と境界例
第5章 境界事象と精神医学