出版社内容情報
中国南方の戦場で取り残された一砲兵は,共産党のスパイに間違われて国民党に捕えられ,死刑宣告を受けるが,獄中の中国人に救われる.戦後,その中国人とかつての拘置所を訪れた彼は,当時の重大な真相を知らされる.
内容説明
中国南方の戦場で取り残された一砲兵は、共産党のスパイに間違われて国民党に捕えられ、死刑宣告を受けるが、獄中の中国人に救われる。戦後、その中国人とかつての拘置所を訪れた彼は、当時の重大な真相を知らされる。
目次
「支那文学」を選ぶ
戦時下の高校教授
軍隊の捕虜
国民党軍特務機関の囚人
重慶の地下牢
中美合作所
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
62
2016年1117冊め。著者は水滸伝や三国志の翻訳もされている文学者である。東京帝大時代、盧溝橋事件の翌年に盧溝橋へ留学したエピソードがあるのだが、現地学生に「君の学校は何という名だ」と聞かれて「はんのはずかしげもなく『帝大』と答えていた」と言う記述がある。「侵略されている国の首都へ留学という名目で官費で遊びに行って、平然としているということ自体、はずべきことだったのに」と。戦後だからそう思うようになったわけであるが、こういうことをきちんと本に書いて残してくれるということが大事なのだと思う。2016/12/20
荒川ながれ
2
著者の戦争体験、戦時中、中国にて、赤痢にかかり、自決用の手りゅう弾を渡された。意識を失っていたところ、国民党に共産党のスパイとして捕えられた体験。奇妙な人生があるものだ。2012/11/24