内容説明
素粒子論の「やさしい解説」を何度聞いても、どうにも腑に落ちない…。それもそのはず、多くの人は、素粒子論を理解するためには避けて通れない「場」の考え方について、ほとんど学ぶ機会がないからだ。素朴な“粒子”のイメージから脱却し、現代物理学の物質観に目覚める、今度こそわかりたいあなたのための素粒子入門。
目次
第1章 素“粒子”という虚構
第2章 場と原子
第3章 流転する素粒子
第4章 素粒子の標準模型
第5章 摂動法と繰り込み
第6章 何が究極理論を阻むのか
著者等紹介
吉田伸夫[ヨシダノブオ]
東京大学理学部物理学専門課程修了。素粒子論(量子色力学)で東京大学から博士号取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロッキーのパパ
16
評価は★★★☆(満点は★★★★★) 素粒子論を知ってから30年を超えるけど、なぜ理解できなかったのかが分かった。素粒子の「粒子」に騙され続けていたわけだ。この本の内容も全て消化できたわけじゃないけど、場の量子論の初歩の初歩だけでも理解できたことが大きな収穫だった。 大学の授業で量子力学を取ったのに、ちゃんと勉強しておけばよかった。2017/03/27
しゅわっち
12
素粒子論では、一番わかりやすい本かもしれない。これを理解して、科学の深い知識を得て、もっと宇宙のなどの根本的なものを理解したいです。2019/04/29
bapaksejahtera
8
以前読んだ著者の「時間の流れ」に関する本は多少理解した気がしたが本書は難しい。しかし人間には馴染み易い粒子として理解され勝ちな素粒子が、その深部に分け入っていくやそれでは整合が取れず、エネルギーを得た場の振動として考えると量子論的な思考とfitする事は理解できた。その後素粒子の質量と重力との関係の理解は3割程度。ゲージ変換と対称性等となるといけない。しかしこの分野はまだまだ研究の果てが見えないらしい。ある理論もそれを唱えた現役研究者が一般向けの本を書くようになる頃には時代遅れになるタイムラグも皮肉である。2021/03/13
DEE
6
素粒子というくらいなので球体として描かれている本が大多数の中、この著者はその考え方だと理論的に行き詰まると主張する。 「場」というものをテレビの液晶に例えた説明はすごくよかったけど、自分がなるほどと思えたのは残念ながらそこまで… 素粒子=球体という本を何冊も読んできた自分には、まだまだ馴染めない考え方。 まぁ、どちらにせよ理解できないのは共通してるのだけれど。 それにしても超ひも理論て主流じゃなくなったのか。ちょっとびっくり。2017/12/17
5〇5
6
固定バネと連結バネの例えで、場とエネルギー・質量の関連をより具体的にイメージできました。これまで読んだ書籍とは異なる角度からの解説書といえるでしょう。本書は、入門編は卒業し、素粒子標準模型、4つの力、量子力学など一通りは読み込んだものの「もやもやが残る、より理解したい・・・」という人向けですね。2014/03/16