目次
第1章 イスラーム国家の始まり
第2章 アブドルアジーズによる国家統一
第3章 近代化とイスラーム的伝統の維持
第4章 湾岸戦争の衝撃と請願書運動
第5章 テロ対策と国内改革
第6章 英断をくだす「二聖都の守護者」
著者等紹介
森伸生[モリノブオ]
1951年生まれ。拓殖大学政経学部卒業、ウンム・ル・クラー大学イスラーム神学部イスラーム文化学科卒業。専攻、イスラーム神学、法学、サウディアラビアを中心とした中東地域研究。現在、拓殖大学イスラーム研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
6
貧困は存在しないといわれていたサウディアラビアは,2002年初めての貧困対策に乗り出す。「11月20日、アブドッラー皇太子が突然、貧民街を訪問することから始まった。…皇太子はそこで困窮者の声に耳をかたむけ、貧困対策に早急に着手することを約束した。国家指導者が国民の生活状況を直視し民衆の声を国政に取り入れるのは民主国家では当然とされても、サウディアラビアでは異例に近い。皇太子の貧民街訪問はテレビ放映されたことによって、政府制度の近代化や経済の自由化を断固として推し進める覚悟を国民の前に表明したとみられる」2024/02/12
佐藤丈宗
2
スゴく面白い国だ。絶大な権力が国王に集中する君主国であり、アラブ諸国で最も厳格なイスラーム国である。西洋的な価値観からみれば前近代的なオカルティックな独裁専制君主国とみなされてもおかしくないのに、これらの要素が絶妙なバランスで機能している。「アラブの春」では、中東の独裁諸国が大きく揺さぶられるなか、この国は全く動揺しなかった。それでも改革は国王主導で進められている。100頁程度のボリュームながら建国前史から刊行当時のアブドッラー国王まで、非常によくまとめられている。2018/01/08