講談社現代新書<br> 宣教師ニコライとその時代

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講談社現代新書
宣教師ニコライとその時代

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  • サイズ 新書判/ページ数 350p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881029
  • NDC分類 198.192
  • Cコード C0223

出版社内容情報

幕末の文久元年(1861)7月、25歳の若きロシア人司祭が蝦夷地の箱館に到着しました。その名はニコライ。ロシア領事館付き司祭として正教を広めるという遠大な志を抱いて、この極東の島国にやってきたのです。それから約50年にわたって、彼は日本人にロシアのキリスト教を伝えるべく奮闘します。 ロシアに帰ったのは二回だけ。それも布教の資金を集めるための一時帰国でした。彼はロシアでは「ヤポンのニコライ」、日本では「(駿河台にある)ニコライ堂のニコライ」として知られ、多くの人びとの尊敬を集めました。永眠は明治45年(1912)2月16日。

高僧ニコライが厖大な日記を残していたことは知られていましたが、すべて関東大震災で消失したと信じられてきました。ところが、日記は震災前にペテルブルグの古文書館に移されており、ずっと眠っていたのです。そのことをつきとめたのが著者中村健之介氏でした。1979年のことです。

中村氏は日記の公刊、および翻訳という大事業に取り組むと同時に、その内容を一般向けに紹介すべく早い段階で『宣教師ニコライと明治日本』(岩波新書)を書きました(ただし、この段階では日記のすべては解明されていません)。その後、2004年に『聖・日本のニコライの日記』五巻(ロシア語原文)を刊行、そして2007年には、氏をふくむ19人の訳者による日本語翻訳版『宣教師ニコライの全日記』九巻(教文館)が、ようやく刊行されたのです。そこには当時の高官やジャーナリストから庶民に至るまでの姿が生き生きと描かれています。また日本各地の風景や産物が克明に記され、他に類のない貴重な記録となっています。さらにロシアへの一時帰国の際の記述からは、従来知られてこなかったロシア社会の実情も垣間見ることができます。

本書は全貌が明らかになった日記全体をふまえた上でのニコライ紹介であり、いわば決定版です。今年(2011年)はニコライ来日150 年、来年は没後100年にあたります。この節目の年に本書が刊行されることはまことに意義あることです。ぜひ多くの方々に読んでいただきたく思います。

はじめに
第一部 布教者ニコライ
 第一章 激動の日本へ
 第二章 活動資金に悩みつつ
 第三章 意志の人

第二部 観察者ニコライ
 第四章 文学者へのまなざし
 第五章 あまりにもロシア的な
 第六章 日本、にしひがし──各地布教の旅日記

第三部 日露戦争とその後
 第七章 ひとり東京に残って
 第八章 晩年の苦悩
 第九章 ニコライの信仰

内容説明

ニコライ堂で知られるロシアの高僧は、篤き信仰心と抜群の観察力の持ち主だった―幕末・明治を生きた稀有の記録。

目次

第1部 布教者ニコライ(激動の日本へ;活動資金に悩みつつ;意志の人)
第2部 観察者ニコライ(文学者へのまなざし;あまりにもロシア的な;日本、にしひがし―各地布教の旅日記)
第3部 日露戦争とその後(ひとり東京に残って;晩年の苦悩;ニコライの信仰)

著者等紹介

中村健之介[ナカムラケンノスケ]
1939年新潟県三条市に生まれる。北海道大学、東京大学、大妻女子大学教授を経て、現在フリー。ドストエフスキーの研究者として世界的に知られる。1979年、ロシアで宣教師ニコライの四十年にわたる日記を発見。それをロシアと日本で刊行し、新しい研究分野を切り拓いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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