内容説明
明治国家成立の逆説。戊辰敗戦の屈辱に引き裂かれた若き武士の、爾来三十余年にわたる名誉回復の軌跡。
目次
序章 移行期における国家と藩
第1章 動乱の京へ
第2章 若き「周旋方」
第3章 戊辰の敗北、勝海舟との出会い
第4章 中央集権体制の確立にむけて
第5章 「第二勲藩」への道
終章 誠一郎・福沢・勝にみる敗者の生きかた
著者等紹介
友田昌宏[トモダマサヒロ]
1977年埼玉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。中央大学大学院博士課程修了。現在、中央大学講師。専門は幕末維新期の政治史。「幕末維新期における宮島誠一郎の国家構想」で第四回徳川奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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politics
6
米沢藩士で維新後は政府に出仕した宮島誠一郎の評伝。維新の人物としてはマイナーな部類に入る宮島だが、その生涯は昨年大河の主演を飾った渋沢栄一にどこと無く似ている印象を抱いた。米沢藩とその主君のために四方に飛び周旋に専念する姿は伊藤博文にも似ている部分もあるだろう。藩意識がいかに国家〈ネーション〉意識に変化していくか、その一つの事例も示しており、大変興味深い内容であった。2022/12/29
PYRRHUS
1
もとが論文なので非常に丁寧に文献を引用して事実を論述しているのは分かるが、それだけに淡々としすぎている。新書としては「深すぎる」という印象、戊辰戦争の全体像を把握していないのに宮島誠一郎という知名度の低い人物に絞った本をいきなり読むのは無謀だった。興味があればもっと面白く読めたのかも。2013/05/27
haidora
1
明治維新を経験した侍たちのどれだけが、どの時点で国家の改革の必要性を痛感できたか?自分たちの旧来の人生観を変えてなお進んでいくことがどんなに辛いか。この宮島という人物に華々しさはありませんが、そのぶん身近に感じられ、彼のゆっくりとした意識改革に共感を覚えます2011/05/05